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  • 【Future Landscape】14.ゾルジャルガル プレブダシ

社会問題を共に考える きっかけに
映画の力を信じて

総合文化学群 映画専修 卒業生
AMYGDALA FILMS代表・映画監督

ゾルジャルガル プレブダシ さん

モンゴル出身。2008年総合文化学群映画専修入学。卒業後は母国で映画監督として活動。2021年、短編監督作『階段/Stairs』、2023年、初長編映画監督作『冬眠さえできれば』など、作品は原体験に基づく社会問題を扱ったものが多
く、映画を通じた社会変容に挑んでいる。

モンゴルの首都ウランバートルで社会問題となっている深刻な大気汚染。その根底にある貧困に焦点を当て、子どもたちが直面する問題を描いた映画「冬眠さえできれば」は、カンヌ国際映画祭の公式部門に史上初のモンゴル長編映画として出品された。つくりあげたのは、ゾルジャルガル・プレブダシ監督(以下、ゾロさん)。「かつて過ごしたゲル地区では、冬になると石炭ストーブを使用します。それは厳しい寒さを乗り切る唯一の手段だから。大気を汚染するとわかっていても、そうせざるを得ない状況を真に解決するには、教育環境の改善が必要。何としてもこの問題を多くの人に伝え、解決の糸口にしたいと、初の長編映画づくりに挑戦しました」

2017年の大気汚染抗議デモをきっかけに本作の企画を構想し、アジアの若手映画監督を育成するプログラム「タレンツ・トーキョー2017」に応募。数百人の中から選抜され、修了後、見事にその 年のアワードを受賞した。 「この東京での経験が映画づくりを大きく後押ししてくれました。思えば、日本での出会いや経験は、今の私の礎となっています。映画の道に進むことを夢見ていた高校時代、桜美林に映画コースがあり、自分の高校から2名の留学生を受け入れていることを知りました。“これは私のためのチャンスだ”と確信し、試験に向けて猛勉強。在学中は映画の現場を知る先生方から学び、映画なしでは生きていけないぐらい、映画が大好きになりました。本作を観た先生方から称賛のメールをもらったときは、思わず涙しましたね」 

留学にタレンツ・トーキョー。いずれも狭き門でありながら決意を持って挑戦し、夢を実現させたゾロさん。これからも映画の力で母国の問題解決に挑み続ける。

間下さんのNow & Then

Now 日本での映画づくりの学びをモンゴルで実践
「冬眠さえできれば」は、真冬の気温氷点下35度の中撮影。映画専修時代に学んだ綿密な撮影計画をモンゴルで実践している。2025年6月28日には、念願だった本作の特別上映会が東京ひなたやまキャンパスで開催された。
Then 映画を観ること・つくることに熱中した映画専修での4年間
「とにかく良い映画を観なさい」という恩師の言葉を胸に、校内の試写室で1日に4本観るほど映画漬けの日々。自主制作にも熱中した。特別上映会には丸池 納先生、村石 誠先生、窪田信介先生と当時の仲間が集まり快挙を祝福した。

※この取材は大学広報誌「J. F. Oberlin Tokyo No. 14」のため2025年6月に行われたものです。

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