富士の麓の美しい村で
未来に希望をつなぐ

経済学部経済学科 卒業生
山梨県南都留郡忍野村 村長

天野多喜雄 さん

あまのたきお
1972年度 経済学部経済学科卒業。2015年に忍野村長選挙に出馬し、当選。2019年再選され現在2期目を勤める。「輝ける未来へ・さらなる前進」をスローガンに、豊かな地域文化・自然環境を受け継ぐだけでなく発展させる村政を目指す。

2013年、世界文化遺産に登録された富士山。登録名には「信仰の対象と芸術の源泉」と記され、富士山を水源とする湧池「忍野八海」もまた、富士山構成資産として認定されている。「村民が安心安全に暮らせるようにするのは行政として当たり前。その上で、芸術活動の奨励や子育て支援を通じて、一人ひとりが希望を抱ける村づくりをしたい」と忍野村長天野多喜雄さんは語る。
 
1969年に桜美林大学経済学部に入学した天野さんは、聖歌隊の隊長として青春時代を謳歌した。
「歌を歌うと無心になれました。音楽を志すわけではない私は、顧問の渡部麗子先生からすれば教え甲斐のある学生でなかったと思いますが、その分距離の近い存在として、先生にはお亡くなりになるまで可愛がっていただきました。礼拝で幾度となく耳にした清水畏三先生の隣人愛の教えも、私の中に根付いているのだと思います」
 
卒業後、地元忍野村に戻り、材木業の会社を設立。地元産業の発展に尽力した後に村長となったが、その歩みはさまざまな幸運と縁に恵まれたものだったという。「実は私は、これといった目標がないまま桜美林を卒業しました。だからこそ子どもたちには、それぞれの夢や目標を見つけられるように機会や選択肢を用意し、世界に通じる人材に育て、送り出すのが私の使命だと思っています」
 
県内で先陣を切った小中学生一人一台のパソコン整備、学校給食費無償化、18歳までの医療費無償化、不妊治療助成金の支給。霊峰富士が育んだ大いなる自然を尊びながら、天野さんは忍野の、そして世界の未来のために村政を執る。それは、先人が飢饉の復興事業として忍野八海を未来に残してくれたように、そして恩師が若き日の自分に施してくれたように。

天野さんをつくるもの

忍野富士
写真家岡田紅陽も愛した忍野村から臨む富士山。文化事業としてフォトコンテストを開催し、入賞作品の写真集を刊行している。
芸術活動の創出
小中学生たちが折り紙8,179枚で制作した富士山アートは「折り紙で作った山の最大の展示」としてギネス世界記録に輝いた。
子ども・子育て支援
所選ばず安心して子育てできるよう、いち早く母子健康手帳を電子化。子どもの健やかな成長に寄与する取り組みに力を入れる。

※この取材は大学広報誌「J. F. Oberlin Tokyo No. 9」のため2022年11月に行われたものです。

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