
7月19日(土)に、卒業生教員研究交流会を開催しました。
本学の資格・教職センターでは、卒業生教員が互いに現場の課題を共有して検討・研究する場として「桜美林大学卒業生教員研究交流会」を2014年度から実施しています。卒業生教員だけでなく、教員を志す在学生との交流・研究の場を設けることで、教員としてのさらなる向上、在学生にとっては教職への理解を深める機会となることを期待しています。昨年度に続き、今年度も対面とオンラインのハイブリッド形式での開催となり、卒業生教員や在学生等の28人が参加しました。
第12回となる今回は、愛知教育大学特別支援教育講座准教授の相羽大輔先生(本学文学部健康心理学科 2004年卒業)を講師に迎え、『インビジブルな障害の理解と合理的配慮 -視覚障害教育の視点から-』をテーマに講演を行いました。
■相羽大輔先生による講演
弱視を例にしながら、見た目ではわかりにくいインビジブルな障害児童生徒たちへの理解と合理的配慮について、以下等を中心に講演をいただきました。
・教育現場においても、当事者にとって、ネガティブな評価に結びつきやすいような自己イメージを植え付けかねない言葉を用いるのではなく、中立的な言葉を使い自身の特性をポジティブに捉えられる環境を作ることが望ましい。
・当事者が困難を表明しやすくするためには、クラス全体が受容的な雰囲気であることが不可欠であることから、働きかけによってクラスメイトの理解を促し、当事者が孤立せず友人関係を築きやすい環境を作ることが求められる。
・当事者の自己理解の状態を整理するため、教育の力で体験の機会を提供し、本人のプライドを尊重しつつ、「応援したい」という姿勢で寄り添いながら、進学など将来のステップで困らないための準備として支援を提案することが有効であり、本人の気づきを促すことも教員の重要な責務である。
・読み書きに困難のある子どもは日本の小学生の約7%〜8%存在すると言われているが、iPadの読み上げソフトやタイピング入力といったICTを活用することで、本来の能力を発揮できる環境を整備することができる。またICTの活用は特別なことではなく必要な合理的配慮である。
・2019年に制定された「読書バリアフリー法」によって、学校図書館も合理的配慮の提供主体となった。これにより、学校がテスト問題などを図書館に依頼し、ルビ振りや音声読み上げが可能なデータに加工してもらうといった連携が法的に可能になり、今後も益々、当事者への学習機会保障と教員の負担軽減に繋がることが期待されている。


■参加者からのコメント
・「今回は弱視という視点での講義ではありましたが、いま所属している勤務校では発達障がいをはじめ目に見えないハンデを抱えている生徒が多くおり、インビジブルな障がいの理解について深く考えることができました。生徒、教員含め多くの課題を抱えておりますが、少しずつ解消できるように進めていきたいと思います。」
・「勤務校が定時制高校で特別支援の経験のある先生方も多く、今後の話し合いなどのテーマになりそうな内容であり、参考になった。」
・「合理的配慮など建設的な対話が大事だと思いました。またICTを上手く使うことも大事。」
・「オンライン生徒にLDの生徒が3名ほどおります。その生徒が楽しく学校生活を送れるのかいつも不安でした。アプローチの指針を示していただけたと感じております。」
・「視覚障害の生徒がいても、どう対応してよいのかわからない教員がほとんどだと思います。今日の相羽先生のお話を伺い、対応のヒントをたくさん得ることができました。半日のご講演でも、これだけのことを学べるので、必修の教員研修に取り入れるべきではないかと思いました。」
・「目に見えない障害について配慮がほとんどされない。現状については改善される必要があると思う。」
・「私は学部生です。今教職資格取得のため勉学に励んでいます。その中で特別支援教育というのは授業で基本的なことは学びましたが今回より詳しくインビジブルな障がいを持つ生徒に対しどのように支援が必要なのか。様々な事例を通し詳しく知ることができとても有意義な時間となりました。障がいをもつ、もたないに関わらず学校生活の中で不安に思うこと苦手とすることを取り除くためにどのような支援が必要なのか。教員が最新の知識を日々取り入れ実践していくことが必要なのだと改めて感じた。」
・「とても実践的なお話を聞くことができ勉強になりました。」
・「具体例を中心に、合理的配慮について学ぶことができた。」


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