芸術文化学群 田淵俊彦教授が、「潜伏キリシタン文化復原プロジェクト」に協力し、9月1日(金)に日本26聖人記念館で行われた記者会見で報告を行いました。
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産は、江戸時代250年間の禁教期における厳しい弾圧の中、宣教師不在でありながら、信者のみで信仰を守り通しながらも、孤立せずに一般社会との関わりも持ちつつ、共同体を存続させるための生き方・暮らし方を創造したことが評価され、2018年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。「潜伏キリシタン文化復原プロジェクト」では、①オラショ(キリシタン用語で「祈り」の意)による洗礼式の復原、②阿古木古道の文化的景観の復原と保存活用、③イナッショ(日本にザビエルを派遣したイエズス会の創設者イグナチオの意)祭り の3つのプロジェクトを実施しています。
田淵教授は主に①のプロジェクトに協力。潜伏時代から信仰が継承された、お授け(洗礼式)の行事を、文献やかくれキリシタンの資料、映像の解析、聞き取り調査など緻密なリサーチをもとに往時の行事を再現し、禁教期のキリシタン研究会と桜美林大学の協働プロジェクトとして、記録保存の動画制作を行いました。儀式の準備から儀式までを3日間かけて撮影。撮影は、かくれキリシタンが長崎県内で一番多い島とされる奈留島で行われました。洗礼の儀式が行われたのは、51年ぶりとなりました。
田淵教授は「かくれキリシタンへのイメージが変わった。彼らはプライドとアイデンティティをもって洗礼を行っていたのだと感じる。アイデンティティが話題になる現代社会において、この研究は非常に重要なものだと考えている」と話しました。
制作した動画は、11月に開催されるイナッショ祭り内で上映される予定です。
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