暗い海底に住む白無垢姿の新種ヒラムシを発見!

2024/02/26(月)

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桜美林大学リベラルアーツ学群の大矢佑基助教、鳥羽水族館の森滝丈也学芸員、北海道大学大学院理学研究院の露木葵唯特任助教らの研究グループは、三重県尾鷲沖の水深330 mの深海から採取された沈木から新種のヒラムシを発見しました。

ポイント

  • 水族館と協力して深海性の新種ヒラムシを発見した
  • ヒラムシ類の深海進出過程を探る手がかりになると期待される
  • 海底の沈木を中心とする生態系理解の一助に
新種のヒラムシの生時写真。鳥羽水族館 森滝丈也氏撮影

ヒラムシはその名前の通り、平たい体をもつ扁形動物(プラナリアやサナダムシの仲間)です。今回、底引き網漁で混獲され、鳥羽水族館で展示されていた深海の沈木から真っ白なヒラムシを発見しました。本種を詳細に観察した結果、ペリケリスヒラムシの仲間と判明しましたが、既知のペリケリスヒラムシ類のいずれにも該当しない特徴をもつ未知の種であると明らかになりました。そこでこのヒラムシを新種Pericelis nivea(和名:シロムクペリケリス)として発表しました。ペリケリスヒラムシ類はサンゴ礁など温暖な浅海域を中心に見つかっているヒラムシであり、深海域からの発見は世界初です。

本研究は深海域の生物多様性の一端を明らかにしたものです。深海域は調査が難しいため、そこにどんな生き物が生息しているのかすら解明の途中です。ヒラムシ類では1つの系統内で浅海域から深海域まで幅広い生息域を示すグループはほとんど知られていないことから、本種はヒラムシ類における深海進出の過程を推定する手がかりになるかもしれません。また海底の沈木では多種多様な生き物が生息することで独自の生態系を作っています。本種の発見は沈木を中心とする生態系の理解の一助になると期待されます。今回の研究は商業漁業の過程で偶然得られた試料・標本に基づいており、漁業者・水族館・大学が協力することで作り上げた成果です。

本研究成果は、2024年2月23日にJournal of the Marine Biological Association of the United Kingdom誌でオンライン公開されました。

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