本学リベラルアーツ学群の教員で化学を専門とする磯崎輔准教授が執筆した論文が、アメリカ化学会発行の学術雑誌Journal of Physical Chemistry誌に掲載されました。
また、研究の内容が高く評価され、グラフィカルアブストラクト(図版で描かれた要旨)が論文誌の表紙に採用されました。Journal of Physical Chemistry誌は、化学分野において世界最大の学会であるアメリカ化学会が発行する、物理化学分野では著名な論文誌です。
論文のタイトルは「Effects of Two Electron-Donating and/or -Withdrawing Substituents on Two-Photon Absorption for Diphenylacetylene Derivatives(ジフェニルアセチレン誘導体の二光子吸収に対する2つの電子供与基および電子求引基の効果)」(DOI: 1.1021/acs.jpca.3c02865)です。
研究では磯崎准教授が中心となって実験装置や測定法/解析法の開発が行われ、成果は青山学院大学理工学部化学・生命科学科の鈴木正教授(光化学)、武内亮教授(有機合成化学)との共同研究によるものです。
分子にレーザーなどの強い光を当てると、分子が二つの光子を同時に吸収することがあり、これを二光子吸収といいます。二光子吸収には三次元的空間分解能の高さや物質内部への光浸透の優位性といった特徴があり、三次元光メモリ、蛍光顕微鏡、光線力学療法、三次元光造形、マイクロマシンなど様々な分野での応用が期待されています。
本研究では、二光子吸収材料の構成要素として用いられるジフェニルアセチレンという分子に、2つの置換基(–R₁、 –R₂)を導入した分子(ジフェニルアセチレン誘導体)を新たに合成しました。これらの分子の二光子吸収特性を、実験およびコンピュータシミュレーションによって調べました。
効率よく二光子吸収を起こすためには、どのような置換基を導入するのがよいか?電子を供与あるいは求引する性質をもった置換基の組み合わせを検討して実験を行い、様々な要因について議論を行いました。本研究により得られた二光子吸収の起こりやすさと分子構造の相関に関する知見は、今後の機能性二光子吸収材料の創製につながるものと期待されます。
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