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映画『遠いところ』上映会および工藤将亮監督アフタートークを開催しました

2025/11/20(木)

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(左から)大城理樹さん、髙橋優花さん、工藤将亮監督(2025年11月14日)

リベラルアーツ学群主催の映画「遠いところ」上映会と工藤将亮監督によるアフタートークが11月14日(金)に以徳館CT101試写室で行われ、約50人が参加しました。

「遠いところ」は、監督が長期間にわたり現地でフィールドワークを行い、沖縄で暮らす若者が抱える課題を丁寧に描きだした作品です。
子どもを抱えた未成年女性の置かれた状況、それに連鎖する家庭の崩壊、ネグレクト、そして暴力といった貧困の現実と背景が鮮烈に映し出されます。
この過酷な状況に、いったい何をできるのかを深く考えさせられる映画です。

工藤監督とアソシエイトプロデューサー仲宗根久乃さんをお迎えしての茶話会(2024年1月23日)

この上映会は、学生の声から企画がはじまりました。
2023年夏の公開時に、『遠いところ』に強く心を動かされたグローバル・コミュニケーション学群の大城理樹さん(当時4年)とリベラルアーツ学群の髙橋優花さん(当時2年、現4年)が、それぞれの教員に本作を熱心に薦めたことがきっかけです。
まだ上映会の準備が整わなかった2024年1月にも工藤監督が来校され、学生との対話の機会を持つことができました。

今回、再び監督をお迎えし、当時から関わってきた髙橋さんと、すでに卒業した大城さんが進行役をつとめ、コロナ禍をはさんだ映画制作や、沖縄の貧困と支援の現状など、多岐にわたるお話をうかがえました。久しぶりに監督にお会いした2人の進行で、アフタートークは終始和やかに進みました。

工藤将亮監督(2025年11月14日)

沖縄の子どもの相対的貧困率は29.9%で、全国平均の2.2倍です。
母子世帯の割合も全国で最も高く、まずはこうした全体状況からお話は始まりました。
「自立とはどんなことですか」。
監督の問いに、髙橋さんが経済的に依存しないこと、と答えると、監督は「困った時に『助けて』といえることが本当の自立だ」と話しました。

大城さんは5回、髙橋さんは3回、この映画を見ており、主人公に寄り添って見はじめた初回から、回数を重ねると主人公の周辺や背景が見えて感想も変わるといいます。来場者の質問は進行役の2人にも寄せられました。

(左から)大城理樹さん、髙橋優花さん、工藤将亮監督(2025年11月14日)

沖縄では、27年もの長い占領による福祉の遅れや、過剰な基地負担という不均衡のなかで貧困の連鎖の起きているといいます。
監督は「まずはできることから」と、一般社団法人「おきなわ子ども未来ネットワーク」が行う若年シングルマザーの運転免許取得支援の取り組みを紹介。
映画の主人公アオイに何があればよいかと考えてみることから、との監督の言葉は、来場者の心に響きました。

高校生の時から本や映画が好きだったという監督がトークの中で取り上げたのは、『ゲド戦記』のアーシュラ・K・ルグィンが書いた短篇小説「オメラスから歩み去る人々」です。子どもの犠牲の上に成り立つ架空の都市「オメラス」を、受け入れる人々と立ち去る人々。
沖縄の現実と重ねて、映画の続きを考えるきっかけになりました。

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