森林率93%を誇る東京都檜原村は、2018年に「檜原村を日本一有名な木のおもちゃの村に!」というスローガンのもと、「檜原村トイ・ビレッジ構想」を掲げており、檜原村地域の豊富な森林資源を活用したおもちゃ産業は、木工房の発展と雇用を生みだし、おもちゃ美術館は観光やエコツーリズムの拠点となる等、地域の活性化が期待されています。
桜美林学園は2023年、檜原村に拠点を置く林業会社である株式会社東京チェンソーズ、檜原村と産官学連携協定を締結し、檜原村を舞台に、芸術文化学群ビジュアル・アーツ専修(VA専修)でデザインを学ぶ学生たちが東京チェンソーズと協働で、森の素材を活かした新たな木のおもちゃの商品開発を行う「子どもの好木心発見・発掘プロジェクト」に取り組んでいます。
今年で2年目となる本プロジェクトでは、林秀紀ゼミに所属する学生たちがおもちゃのデザイン研究開発を主導し、プロトタイプ作品を提案します。今回の活動プロセスは以下の通りです。
- 檜原村森林のフィールド調査
- 幼稚園・保育園での子どもの遊びの参与観察
- 調査データ分析とデザインコンセプトづくり
- プロトタイプ作品の提案
- デザイン検証・評価、デザイン改良
また、プロジェクトで採択された優秀作品は、授業後に開発を継続させ、販売促進用のリーフレットやパッケージも同時に提案することでプロモーションにも協力し、商品化を支援していきます。
5/13(月)、林ゼミの学生たちが桜美林幼稚園を訪問し、第1期のプロジェクトで商品化された3つの製品と既製品のおもちゃを合わせた30点で3~5歳のクラスを対象に子どもの遊びの参与観察を行いました。
今回の参与観察は、園児と本学学生が約1時間遊びながら交流する中で、学生たちは子どもの行動や感情を観察し、デザインコンセプトやアイデア発想につなげることが目的です。
参与観察に参加した学生のコメント
今回桜美林幼稚園へ行き、園児が恥ずかしがりながら私の似顔絵を描いてくれました。似顔絵を描いてくれたのは初めてだったため凄く喜ぶと、その子のお友達も同じように描いてくれました。誰かを喜ばせたいという気持ちが伝わりましたし、親と子を繋げたいという想いが詰まっている木製玩具である「木んパス」の力を発揮できた機会だなと思いました。
また、異学年クラスを実施しているからこそ見られる園児の様子も非常に刺激になりました。「木んパス」を作って良かったと思えた調査でした。
今回の調査では、⾃分が製作に携わった⽊製玩具「やまもりしーそー」で遊ぶ⼦どもたちの様⼦を観察しました。1⼈から複数⼈で遊ぶことが出来る玩具であることから、相⼿に合わせてゆらゆらと揺らしたり、互いに譲り合ったりと、⼦ども同⼠でコミュニケーションをたくさん取りながら遊んでいる様⼦を⾒ることができました。また、今回製作した玩具は滑り台としても活⽤できる仕組みであったため、滑り台としても遊んでもらいました。座って滑る⼦、後ろ向きで滑る⼦、お腹で滑る⼦など、それぞれが様々な⼯夫をして遊ぶ様⼦が⾒られました。全体を通して、異なる年齢の⼦どもたちが互いを尊重しながら遊ぶ様⼦が最も印象的でした。
今回、おもちゃをデザインするにあたって、ターゲットとなる年齢が3歳~ということで、幼稚園の子供たちの遊び方を学び、デザインに繋げるという考えで学習しました。
子供たちは色々な感性を持っていて、活発な子やパズルや積み木を綺麗に並べ考えることが楽しいと思う子もいました。音に興味を持つ子が多い中で、あまり好きじゃない子も居てデザインの考えが難しくなりました。その中でほとんどの子供に共通していたのは動くものに興味を持つことです。私も動くものには自然と目が行くのですが子供たちはさらに興味を持っていました。回りながら落ちるボールは何回もやっている子がいました。また、デザインの観点ではなく幼稚園の子供と遊ぶということでは、子供同士のおもちゃの取り合いなどの対応が難しく、改めて先生方の凄さを感じました。
子供たちの行動をよく見てみると、コマを砂時計のように時間を測るものとして使い、積み木を早く積んだ方が勝ちというルールのタイムアタックをして遊んでいる子がいました。この遊び方を見て、自分にはないおもちゃの使い方だと思い新たな刺激を受けることができました。このことから感じたことは、気づきや学びを教えてくれる存在に年齢などは関係ないと改めて感じました。それと同時に、自分たちのような芸術を学んでいる大学生や大人たちよりも固定概念が少ないため、自分たちではできないような色々な発想があり、新たな学びがあると感じました。この幼稚園訪問で学んだことは、これからのデザインに役立てたいと思います!
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