リベラルアーツ学群 理系卒業論文/卒業研究発表会

2023/04/10(月)

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2023年1月25日、リベラルアーツ学群で物理学、化学、生物学、地球科学を専門とする教員のゼミに所属する学生の卒業論文/卒業研究発表会が町田キャンパス理化学館で行われました。

卒業論文/卒業研究は大学での学びの集大成ともいうべき科目で、学生は教員の指導と助言のもと、春・秋両学期を通して「研究テーマの決定」、「関連する文献の調査」、「問題解決のためのアプローチの検討と実施」、「結果やデータの解析」、「考察や提案」を行っていきます。

学生はこれらの研究の成果をわかりやすくまとめ、口頭で発表を行いました。発表のテーマは自然科学の専門的な内容のものから、人文や社会との関わりが深いものまで多岐に渡っており、リベラルアーツ学群らしい、学生の多様な興味と学際的な思考がみられました。発表後の質疑応答の時間では、教員からだけでなく、学生からも鋭い質問が多くあり、活発な議論が行われました。また、研究を行う上で工夫したことや苦労したことなども聞くことができました。

発表を行った学生は、卒業論文/卒業研究を通じ、我々の身の回りにある問題を正しく認識して、それを解決するという過程を体験し、学修することができたと思います。桜美林大学で学んだ知識や経験を糧に、これから社会での活躍を期待しています。

発表者の方々に、次のような質問を通して卒業論文/卒業研究の魅力を語ってもらいました。また、指導教員の先生方からも一言いただきました。

【質問事項】
(1) 卒業研究で面白かった点・楽しかった点を教えてください
(2) 卒業研究で苦労した点、トラブルなどを教えてください
(3) もしかしたら理科系の卒業研究を考えているかもしれない後輩に一言お願いします。特に理科系の卒研のおすすめのポイントなどをお願いします。
(4) その他のコメント

瀧澤 友里 (メジャー:博物館学、地球科学 マイナー:生物学)
タイトル「アイヌの星座と普及課題」


(1)同じ北海道に住んでいるアイヌ民族でも地域によって見ている星座がかなり異なっていることなど、他民族だけでなく同じ民族内での違いがある点も興味深かったです。
(2)研究するにあたり、複数の方にお話を伺ったのですが、失礼のないように細心の注意を払ってやりとりをしたこと、そのお話をどのようにまとめるか、という点に苦労しました。また、10月に就職したばかりで体力的にきつかったのか、熱が続いたときは少し焦りました。
(3)私はどちらかというと文系よりの研究となりましたが、どの分野の研究をするにしろ、目的を持ち、これまで学んだことを活かしたものが書けたら良いのではないかと思います。しかし無理はしすぎないように体調には気を付けてください。
(4)宮脇先生、遠方での研究を承諾していただき、ご指導もしていただきまして誠にありがとうございました。

指導教員:宮脇亮介教授
「日本に伝わる大陸からの星座は、キトラ古墳に代表されるものですが、アイヌ文化が独特の文化を持っていることがわかりました。調べて見ないとわからないことがたくさんあります。」

伊佐次 可菜 (メジャー:物理学、地球科学 マイナー:博物館学)
タイトル「SDRを用いた流星電波観測の運用」


(1)高校生の頃からやりたかった研究なので、大変なことばかりでしたが楽しんで行えました。
(2)準備自体は春学期から行っていたものの、観測が上手くいかず使えるデータが秋頃まで入手できなかったことです。
(3)理科系の卒業研究の特徴は実験設備を使える点だと思います。やりたくてもできなかったことができる機会です、まずは先生に思いの丈をぶつけてみましょう。
(4)現在、流星電波観測の引き継ぎ者を募集しています。

指導教員:宮脇亮介教授
「観測装置を組み立ててすぐできそうでしたが、トラブルが多く流星が捉えられませんでした。そういう体験が重要です。」

長谷川 聡美 (メジャー:物理学 マイナー:化学、数学)
タイトル「量子計算による宇宙論への寄与」


(1)自分の好きなことをとことん突き詰められたこと。外部の講演会に参加し、教員と議論ができたこと。
(2)宇宙論を勉強するために必要な基礎知識を習得するのに、思いのほか時間がかかったこと。
(3)設備が整った環境で、友人と切磋琢磨しながら研究ができること。
(4)森先生、河本先生には私のわがままに付き合って頂きました。すごく成長できた1年でした。本当にありがとうございました。



指導教員:森厚教授
「新任の河本先生がいらして、学生が研究できることの範囲が広がりました。長谷川さんはそのチャンスを存分に活かして頑張ったと思います。」
指導教員:河本祥一助教
「宇宙論の勉強はなかなかハードルが高かったですが、基礎物理の復習から初めて粘り強く最先端の結果を知るところまで行きました。量子コンピュータのデモンストレーションも含め、地道に頑張った成果がこの発表だと思います。」

川南 涼音 (メジャー:情報科学 マイナー:環境学)
タイトル「インフォグラフィックスの役割と可能性」


(1)自分の学びたい、もっと知りたいと思うことに真っ直ぐに取り組むことが出来たことがとても楽しかったです。
(2)思うようにスケジュールが進まなかったことがあり、計画を練り直すことに苦労しました。
(3)桜美林大学には「やりたい」と思うことに真っ直ぐになれる環境が整っていると思います。なので、ぜひその環境を活用して卒業研究に取り組んで頂きたいです!
(4)片谷先生にはお忙しい中、確認や相談に乗っていただいたりしました。またゼミの後輩の子たちにも沢山助けてもらいました。本当にありがとうございました。

指導教員:片谷教孝教授
「川南さんは私のゼミに久々に来た情報科学メジャーの学生でしたが、理解が早く、自分で考えて研究を進めることができるので、指導教員としては楽でした。」

草賀 結希 (メジャー:生物学・化学 マイナー:地球科学)
タイトル「中学校理科教育における実験教材の研究 ~血液の実験と3Dプリンターによる造形物の活用~」


(1)教育実習で卒業研究に関する実験を見せたときに、子どもたちが楽しかったと言ってくれたことがうれしかったです。事前に時間をかけて準備をすることで子どもたちが興味を持てる教材を作っていくことができると学び、これからも実践していきたいと思いました。
(2)3Dプリンターの活用では、3Dデータがないと印刷できないのですが、3Dデータが日本のサイトには少なく、海外のサイトにあったため英語に苦戦しました。
(3)理系の卒業研究を行うことのおすすめのポイントは、授業で受動的に学ぶことと比較すると能動的に活動していくため、より深い理解につながる点だと思います。卒業研究を通して、自分は大きく成長できたなと感じているので、ぜひ考えてみてください!
(4)磯崎先生、卒業研究では1年間お世話になりました。卒業研究を通して、物事を究めることの楽しさや大切さを学ぶことができました。来年度から教員として働き始めますが、日々授業をよりよいものへとするために研究を続けていきます。今まで本当にありがとうございました。

指導教員:磯崎輔准教授
「来年度から、目標であった理科教員になることができて良かったです。卒業研究で学んだことを生かし、生徒が興味をもってくれるような授業を行えるよう、期待しています。」

岡本 穂 (メジャー:生物学 マイナー:宗教学)
タイトル「捕食者を模倣した攻撃に対するジョロウグモの捕食回避行動」


(1)面白かった点は研究データを取り終えた後に、対象がどうしてそのような行動をとったのかを考察しているときが一番楽しかったと思います。先生の部屋で二人であぁでもないこうでもないと話し合う時間が学ぶことも多くいい時間だったと思います。
(2)データを集めることが一番大変でした。生き物が相手なので実際に外に出て集めなければいけないですし、あとから「もっと多くの情報をメモしておけばよかった」や「違う方法で調査するべきだった」など改善点が出てきてしまい、それでも途中まで進めてしまっているのでできることをやるしかなくなったりなど大変だった。
(3)自分は理系卒で就職したいなら卒論を書かなきゃ理系卒としてみてもらえないと言われ履修することにしたが、実際にはそれ以上に理論的に思考することや、パワーポイント、エクセルなど就職しても使えることを多く学ぶことができたし、卒論でしか経験できない多くのことが経験できたと思うので勇気を出してチャレンジしてみることをお勧めします。
(4)一生のうち今この時期にしか経験できないことなので、やってみるといいことあると思います。

指導教員:大脇淳准教授
「卒研では色々と想定外のことが起きましたが、それでも最初に立てた目的や仮説に基づいて一貫したデータを取り、解析結果を論理的に解釈していく、という研究の醍醐味を楽しんでいたようなので、一緒にやっていて私も楽しかったです。卒研で学んだことは多岐にわたると思いますが、ぜひその経験を生かして社会で活躍してほしいと思います。」

福井 藍月 (メジャー:博物館学 マイナー:生物学)
タイトル「桜美林大学町田キャンパスの大型菌類相」


(1)元々キノコ好きだったため、研究目的でほとんど毎日キノコと触れ合えたこと。
(2)今年度は学内で取り壊し工事が多かったこと。昨年度、大型のイボテングタケが確認できた亦説館が取り壊され、もう見られなくなってしまった。
(3)好きな植物、動物などがある人は生物学の卒業研究でたくさん関わることができるのでおすすめです。特にキノコに関しては今年度初めて調査を行ったので、学内にどんなキノコが生えているのか気になる!という方は是非挑戦してみてください。

指導教員:木場英久教授
「入学前からキノコが大好きで、ゼミでの野外観察中も仲間を待たせてキノコを採集する人でした。高校生のころからの興味を発展させて卒業研究に結びつけた学生です。こういう個性の持ち主と一緒に学べてとても有意義でした。この個性を活かして、卒業研究では、学内のキノコのリストを作成することに取り組みました。」

渡辺 ゆきえ (メジャー:生物学 マイナー:化学、情報科学)
タイトル「桜美林大学における植物標本画像データベースの構築」


(1)授業やゼミでは観察できなかった高山植物や地方の植物を、標本ではありますが実際に見ることができて楽しかったです。
(2)桜美林大学に保管されている約9000点の植物標本を1点ずつ画像化する作業は大変でした。 プログラミング言語を使用してのデータベース作成では、思い通りに実行されなかった際の原因を解明することに苦労しました。
(3)理科系は少人数での授業が多いので、卒業研究をやる前から先生とのコミュニケーションがとりやすいです。そのため卒業研究を始めた後でも相談しやすいので、安心して取り組むことができます。

指導教員:木場英久教授
「植物標本は、乾燥させた壊れやすい植物体を台紙に貼ったものです。標本を壊さず便利に使うために、私はずっと画像データベースを作りたかったのですが、技術的に困難でした。この学生は、標本の大切さと壊れやすさをよく知った上でプログラムを書くことができる人でした。諸問題を乗り越え、わずか1年で9千点の標本すべての画像データベース化を実現してくれました。後輩のみなさんは標本を安全に、しかも便利に使うことができるようになりました。」

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