桜美林大学図書館
マイライブラリ
2021年10月01日(金)
留学に行かれない今だからこそおすすめしたい一冊。海を超えて世界とつながることの意義を教えてくれる超大作です。宗教(キリスト教、仏教、禁教)、美術、戦国時代、大航海時代などさまざまなキーワードが飛び交う史実の世界を、若桑先生が血湧き肉躍る物語にして読者に提供してくれます。なかなかのボリュームなので、体力がある学生のうちに読むことをお勧めします。
30代にしてフランス・ミッテラン大統領の補佐官として任命、さらに「ヨーロッパ最高の知性」と称され、ソ連崩壊、世界金融危機、テロの脅威、アメリカでの孤立主義・保護主義化などを予測してきたジャック・アタリが、今後の世界情勢の見通しをもとに“21世紀の新世界秩序”を大胆に構想した注目の本。併せて、宗教を人の支配に活用した歴史や世界の覇権を取ってきた国が時系列で記載されており、世界史の学び直しもできます。先の見えないコロナ禍で、大局を見るためにオススメです。
他大学の創立者の本なので、オススメすることを若干ためらいますが・・・なぜ学ぶ必要があるのか、学んだことをどう活用すべきか、(明治初期の)先が見えない時期にどう生きるべきなのか、将来なってはならない人間のあり方などを知ることができる一冊です。かつ、平易な現代語訳をしてある本なので、とても読みやすいです。
何気ない日常の中に、喜びや楽しみ、美しさがあります。母親に勧められてなんとなく茶道を始めた主人公、典子。人生の紆余曲折を経て、日本の四季や先人の残したものに感動や喜びを感じるようになります。不安や緊張を強いられる今という時代に、読者が主人公と同じように少しホッとできる作品です。映画化もされていますので、両方で楽しんでください。
どこにも出かけられないこんな時だから、まだ見ぬ遠い国に想いを馳せたい、そんな気持ちにどんぴしゃな一冊。 読み進むうちに、風や気温を感じ、自分が本に書かれている景色の中にいる不思議な感覚に襲われる。動物たちと一緒に無謀とも奇妙とも思える冒険を続ける遠い国から来た一人の若者に優しい現地の人々。もちろん優しくない人も危険な人にも遭遇するが、暖かく古くからの友人のように接してくれる人たちに心が洗われる。 コロナ禍が明けたら、海外からの旅人を彼らのように暖かく迎えたいと思う。
オランダの哲学者、バールーフ・デ・スピノザ(Baruch De Spinoza, 1632〜1677)は、多数の名言・箴言を残した人でした。例えば次のような言葉を残しています。 「自分を卑下することは、自分を他人より劣ると信じる間違った考えから生まれる悲しみである」 「嘲笑せず、嘆かず、呪わず、ただ理解する」 「運命とは、受け入れるべきものではない、それは自ら選び創り出すものだ」 「難きが故に尊いのだ」など。 この本は2020年11月18日に出版されたスピノザ哲学のエッセンスを記した入門書です。2018年刊行の『NHK100分 de 名著』の増補版ですが、COVID-19のパンデミック(世界流行)時に出版されました。この本を通して多数の勇気をスピノザの言葉から受け取ってくれることを期待した出版だったと思います。是非、この本から勇気をいっぱい貰ってください。
桜美林大学を卒業した年、私は某大学院に進学したものの、早々に1年間の休学を願い出て、桜美林大学創立者清水安三先生のゆかりの地である、滋賀県近江八幡市内の日本基督教団の牧師が運営しているとある施設に居候していた。 日本基督教団 近江金田教会の本棚に本書は置いてあった。本書はキリスト教の本ではない。しかし、どん底まで落ちた「読む人」を立ち直らせる不思議な力がある。その点はキリスト教と共通点があると私は感じた。清水安三先生も『石ころの生涯』という本の「復活の信仰」という章で「キリスト教の復活の信仰は人生に再出発のできることを教える宗教である」と書いている。 本書の著者は中学生の時に受けた「いじめ」をきっかけに、人生の歯車が大きく狂ってしまう。普通なら立ち直れないかもしれない。そんな状況から著者が再出発して弁護士として活躍している姿に私はとても励まされている。そう、今もエールをもらっている。
H. アーレントが英語で書いたThe Human Conditionは日本語訳が『人間の条件』として1973年に出版されたのに対し、本書はアーレント自身がドイツ語で大幅に書き直しながらVita activa oder Vom taetigen Lebenと改題して出版した原著を2015年に森一郎が翻訳したものです。ここで展開される「労働」「制作」「行為」という人間の活動の三分類は、私にとってどのように生きたいだろうか、と考えたとき(悩んだとき)、一つの指標となりました。しかし、その後、「ケアの倫理」や「ケアの責任」を政治と結びつけなくてはならないという考え方にも触れ、同じ指標を持ち続けるだけではなく、批判的な見直し、勉強の継続が大切だということも学びました。学生時代に読むだけでなく、その後の人生においても読み返す価値のある1冊です。難しくても、また何年か経ってから再チャレンジもありです。
「日本一のフェラーリ遣い」と呼ばれた花形レーサーは、激しい雨の富士スピードウェイで多重クラッシュ事故に巻き込まれ「72時間の命」とされた。奇跡的に命は取りとめたが全身にわたる重度の熱傷のため鼻やまぶたは焼け落ち顔は変り果て、物をつかむこと歩くことさえできなくなってしまった。生きるための手術と治療は想像を絶する痛みを伴い、過酷なリハビリが続く。それは、事故から生還できた喜びから、身体の激痛と二度とレーサーに戻れない現実、絶望との直面であった。その苦しみから逃れるため、病院へ屋上へ。しかし、妻や子の支え、そして様々な障害を抱えた人との出会いが、自分の弱さを見つめさせ自分を変える原動力となり、明日への希望へとつながっていった。
【自分の学び方をデザインする】 高校までは「生徒」、大学からは「学生」と呼ばれ、より主体的な学びが期待されます。あの人は頭がいいけれど、自分はそうでないから成績が違うのだと思っていませんか。もしかするとよい学び方、自分に合った学び方、学ぶ対象に合った学び方に気づいているかいないかの差が原因かもしれません。 本書は「大学での学びを楽しむためのヒント」になると思います。自分なりの学び方を考えるために、学習心理学や認知心理学、教育学などを主に様々な角度から「学び方」について知見が得られます。 オンライン授業にも慣れてきているかと思いますが、自分に「フィットする学び方」を見つけるために本書をお勧めします。ぜひこれをきっかけに大学での学びにハマってほしいと思います。
「どこまでもどこまでも僕たち一緒に行こうねえ」(銀河鉄道の夜)と思う気持ちを持ちながら、別れなければならない。そんな悲しい気持ちになる話は多いです。この本の上巻もそんな気持ちが募る話です。「私を見捨てて、私の好きな人たちはみんな去ってしまった」「私は一人ぼっちだ」誰でもが、ときどき、陥って、抜け出せなくなる気持ちが描かれています。下巻を読んで、話の展開に驚き、そして同時に救われたように思った感覚は、今でも忘れません。この本を読んで、皆さんが同じような体験ができれば、と、願っています。
「言葉」はやっかいなものです。あなたが何かを伝えようとしたとき、ただ必要な情報だけを伝えても、なぜか相手には伝わりません。そこには「伝え方」つまり「レトリック」が欠けているのです。また、「言葉」はふしぎなものです。つまらない内容でも、「書き方」つまり「レトリック」次第で、はっとするほどおもしろく、色鮮やかなものになります。 著者の佐藤信夫は、このレトリックの謎にとりつかれた人でした。そして、そのレトリックの世界を心から楽しみ、古今の文学に織り込まれたレトリックを読み解いていきます。 そこには、視点を変えた表現の楽しみ、言葉にしがたいものを何とかして言葉にしてやろうとする格闘、レトリックがもたらす発見的な豊かさに満ちています。 いま、私たちは自分の中にどれだけの豊かさを持てるか試されているときではないでしょうか。多彩で多様な視点とそれを言葉にするレトリックの世界を、この本から垣間見ていただければ幸いです。
まず読むほどに話に引き込まれてゆく面白さがあります。まるで講談でも聞いているようなリズム感。そして、日本語の美しさと、豊かさを体験できます。二話とも不思議な話ですが、この世とあの世の境目を漂うが如き独特の世界観を覗き見てください。
2020年1月に世界に広まった新型コロナウィルスの影響は、いまだに全世界に及んでおり、全く収束の見込みは立っていない。おそらく人類はこれからさらに数年間、ウィルスとの闘いに全力を傾けなければならない。著者のジャレド・ダイアモンドは、1万年以上に亘る人類の歴史を対象に、様々な学問分野の最新の知見を駆使した分析によって、地球上の各地域の民族集団の興亡を描き出した。本書の刊行は、コロナ禍発生のずっと前であったが、病原菌がある社会や国家の滅亡にいかに大きく作用したかを強調したことから、彼の最新の発言や見解はたびたび日本でも紹介されてきた。これまでの日常生活が根底から崩れる時、人間は不安に慄き、場合によっては絶望してしまうが、しかし変化に適応して生き延びてきたのも人間である。外出もままならない現在、普段は読破が難しい本書のような大著をじっくり読むことで、この地球社会に生きる私たちを足元から見つめ直したい。
「生命とは動的平衡にあるシステムである。」 動的平衡とはつまり”変化し続けることで一定の状態を保つ”ということ。生物学者・福岡伸一氏が生命の在り方を鮮やかに紐解くこの一冊を、私は学生の皆さんに贈りたい。 「自分とは何か?」きっとこの問いかけは、時に無意識の圧力として私達の上に降り注ぐ。解の無い問い、哲学的と言えばそれまでだが「生命としての自分」という視点で自身を見つめられるのがこの一冊だ。 私たちの肉体は日々変化し続けている。しかし自分自身ではその細胞の変化に着目して日々を過ごすことはほとんどない。この本は自分の在り方はもちろん「生命の意義」を提示してくれる。それは自分の体に起きているシステムを包括的に知ることに他ならない。
白い毛でおおわれた体に、茶色の毛で羽のような模様のある小さな犬リトが主人公です。麦畑の上に広がる空の匂いを嗅ぎ、その匂いの中に何か大切なものが隠されているに違いないと旅に出ます。 リトが目にしたのは、役に立たなくなった老犬を邪険に扱う羊飼い、猫や犬の皮を売って日銭を稼ぐおじさん、チャンピオン犬を大切にしたものの、速く走って獲物を見つけられなくなった途端、飼い犬への関心を失うお金持ち・・・ でも、ようやくリトは自分を大切に想ってくれる女の子とそのお母さんに出逢います。リトがふたりと暮らし始めてから一年がたった頃、突然たいへんなことが起こります。流行り病が街を襲ったのです…… 作者の山元加津子さんは、長いこと特別支援学校の先生をしていました。さまざまな障がいを抱えることも、新型コロナウィルスも、サムシング・グレートからのメッセージ、人が変われるチャンスであるということを、この本は教えてくれます。
この本は人類最古のメソポタミア文明のハンムラビ王から現代の政治家までの各時代、各地域のさまざまな指導者を選んでそれぞれが世界史の中で果たした役割を通信簿のように表して説明している本です。その中で私はエリザベス1世に着目しました。彼女はこの本の中では「安全運転に徹した処女王」と書かれています。エリザベス1世は鉄の女と思われがちですが、むしろ慎重な方で成功した人物です。エリザベス1世はイングランド王位を狙った陰謀に関わったという理由で刑死していますが、「私ほど臣下を愛する国王はいないでしょう」などの彼女の言葉の通り彼女は結婚せずにイングランドという国を夫としてみていたなど彼女は国民から大きな信頼を持たれていて、のちの世においても評価を維持しているなどという事をこの本で学びました。なんでエリザベス1世が死ぬまで独身で「処女王」のままだったかは本当の理由は分かりませんが、出産を恐れていたや姉のメアリーが結婚で難しい立場に立たされたのを見ていたから慎重に判断した、とエリザベス1世の考察のようなことも書いてあり、興味の湧くようなことが多く語られている本でした。
新型コロナウイルスという危機に直面し、私たちはこれまでのライフスタイル、生き方を見直さざるを得なくなりました 企業においても大きな変革を求められており、人々の安全や安心にどう貢献していくのか、人権問題や環境問題にどう取り組んでいくべきなのか? といった社会的な役割がより強く求められるようになっています。 マーケティングの目的を「世界をよりよい場所にすること」に設定し、ソーシャル・メディアの普及等の時代の変化も踏まえて、これからのビジネスに必要な視点を俯瞰しています。10年以上も前に出版された本ですが、ここで述べられている事柄はパンデミックを経験した現代社会において、さらに重要性が増しています。その意味で、未来を的確に予見していた本と言えるでしょう。
私が最も感動し、影響を受けた一冊です。欧州の宗教戦争の時代の思想状況を論じた本ですが、社会の分断が進み、人々の間に不寛容が蔓延する今こそ、読み直されるべき本だと思います。
戦争はあらゆる国民の人生を変えずにはいなかったが、とくに若者の青春をメチャクチャにした。19歳で終戦を迎えた詩人・茨木のり子の初期の詩には、そんな理不尽に徒手空拳であらがう若者の姿がある。「わたしが一番きれいだったとき/わたしの国は戦争で負けた/そんな馬鹿なことってあるものか/ブラウスの袖をまくり卑屈な町をのしあるいた」。コロナも戦争のようなものだ。僕たちは、コロナのために多くのことを諦めなければならなかった。還暦前の僕にだって、それなりの焦りや不安がある。若い人ならなおさらのことだろう。気の滅入ることも多いが、悪いことばかりじゃない。僕たちは、オンラインという新しいコミュニケーションツールを手に入れた。人々が地方に目を向けるようになり、東京から人が減り始めた。地球も少しキレイになった。だからコロナに負けずに、茨木のり子のように、シャツの袖をまくってのし歩きたいと思うのだ。
『小公女』『若草物語』『ハイジ』『赤毛のアン』『あしながおじさん』『秘密の花園』『大草原の小さな家』『ふたりのロッテ』『長くつ下のピッピ』。全て読んだ人も多いでしょう。私も、夢中になって読んだ頃を懐かしく思い出しました... と言うと、どうして今、昔の翻訳少女小説なのか?と思われるかもしれませんが、作品が書かれた当時の社会状況にも触れつつ、筆者がいつもの鋭い切り口で読み解いてくれると、自由に焦がれる少女たちの自立への道や妥協とも見える行動などジェンダーの問題だけではなく、植民支配を含む支配・被支配の構造、「障害」克服の意味、開拓時代と新自由主義など、今の世界に通じる要素に満ちていることに気づくはずです。そういうことだったのか!と目から鱗の連続で、実に面白く刺激的、語り口も痛快です。そして何より、読書の喜びを思い出させてくれます。(筆者の周囲の男性は一冊も読んでいない人がほとんどだったそうですが)原作を読んだことがない人にもお勧めします。
『からだは星からできている』佐治晴夫著を推薦します。私の専門は日本画で「自然や宇宙、地球」をテーマに絵画制作しております。思えば、2020年〜2021年、この二年間の地球で起きたことは人類の価値観を一変させました。そんな地球は最も巨大な自然物「宇宙」に包まれています。そして宇宙には、豊かさと美が溢れています。天体からの衛星インターネットサービス「Starlink」が可能になりそうな今、今日の紆余曲折を乗り越えて、私たちの愛する地球にとり、より身近な宇宙時代はもう直ぐです。今こそ、この一冊を手にして、私たちの心の宇宙、宇宙の美を見据えましょう。日本画の巨匠達も古の頃から、自然や宇宙という普遍的な主題を筆で伝承してきました。美の歴史が証明しているように、『からだは星からできている』の読後は、きっと心豊かで、美しい未来が広がるかも。
4~15世紀のドイツの修道士による著作です。本書の内容は、第一巻の第一章「キリストにならって、すべてこの世の空しいものを軽んずべきこと」に始まり、第四巻の第十八章「人は秘蹟を物ずきにかれこれ詮議すべきではなく、その理知を聖い信仰に従わせて、つつましくキリストにならうべきこと」で終わります。薄い文庫本のなかに114章も収められているほど、文章は短く、わかりやすく、クリスチャンでない普通の人にも安らぎと救いを与えてくれる名著です。私の若い頃に、敬虔なクリスチャンであった伯父から薦められた1冊でした。確かベストセラーだったと記憶しています。当時の私は、今日につながる舞踊学の道を目指し、切磋琢磨していましたが、じつに様々な困難に出会い、苦悩しました。この1冊は、当時の私の心を支えてくれた座右の書になっています。本書は必ずや、芸術を目指す若い方々の心にも響くものに違いありません。
まずは『第3部 脳と肉体』から読むことを強くおすすめします。他の章はその後で読んでください。脳の成長にラストスパートがかかり、新しいことを素早く学べることができ、「こうなりたい!」と思う姿に近づくのは20代においてほかならないと、本書で桜美林生に語っています。人生設計(ライフプラン)を立てていますか?目標がしっかり定まっている人もいれば、世の中が不安定なことにより未来に希望が持てず目標が不明瞭という人もいるでしょう。人生設計(ライフプラン)と聞くと、しっかり綿密に立てなければと大げさに感じるかもしれませんが、難しく考えないでください。自分と向き合って考えることにこれからの人生に大きな影響を与えます。だからこそ、ライフプランニングが大事なんです。そして、そのタイミングは「今」です。私は目下、プランニングしています!
桜美林生のみなさん全員に読んでもらいたい一冊です。そして読んだ後に「みんなで読み上手、書き上手、話し上手になる一歩としてゼミ内で○○やってみましょう」と提案してぜひ取り組んで欲しい!対面での授業よりもオンラインでのリモート授業が増えたのではないでしょうか。私がこの本を手に取ったきっかけは、在宅勤務が主となり、電話やメール、チャットを駆使しなければならず、コミュニケーションの難しさを日々痛感していたためでした。タイトルの通り、コミュニケーション力、日本語力を磨くために、どんなことを意識して、どんな訓練をしていくか、具体的に、わかりやすく私たちに教えてくれます。私はOJT期間中、業務の振り返りなどをシートにまとめていました。すると先輩社員から、OJT初月と比べると、明らかに読む側のことを考えてシートをまとめられていると評価を得ました。本書で学んだことを実践した成果です。
コロナが終息して以前のように旅行が出来るようになったら…と想いを膨らませて心待ちにしている桜美林生におすすめしたい一冊です。小澤征良さんと杏さんが旅先で綴った手紙と北海道二人旅のエッセイ本です。これを読んだら、ますます旅をして、非日常の環境で五感であらゆることを吸収したくなります。離れて暮らす家族や親しい友人、恩人に手紙を書きたくなります。今度旅をする機会があれば、現地で葉書きや便箋・封筒を買って、誰かに手紙を送ろうと思います。私は在学中に海外へ渡航した際に、家族と友人に葉書きを送ったことがあります。友人は旅先からの手紙が届いたのは初めてかつ海外から届いたと喜んでくれて、嬉し恥ずかしいことに飾ってくれています。電話、メール、SNS、テレビ電話でのやりとりが主流の日常からちょっと離れて、文通をしてみてはどうでしょう?
「この世に生きるものが、なぜ、このように在るのかを、知りたいのです。生き物であれ、命なきものであれ、この世に在るものが、なぜこのように在るのか、自分は不思議でならない。小さな蜜蜂たちの営みが、信じられぬほど効率がよいこと、同じ蜂でも多種多様であること、なぜ、それらが、そうであるのかを考えると、果てしない問いが浮かんでくる。自分もふくめ、生き物は、なぜ、このように在るのかを知りたい。獣は、人のように言葉を話さない。彼らの病を治すためには、人は、彼らについて、ありとあらゆることを学びつづけなければならない。獣について学ぶことは、きっと、自分が知りたいと思っていることに、つながっているはずである。』これは主人公エリンが獣ノ医術師を目指し、入舎ノ試しで書いた作文を抜粋したものです。本書を読むと、エリンのように、好奇心と熱情を持ち続けて行動していきたい、行動していこうとパワーがもらえます!
旅の一番の魅力は何だろうか。やはり、美しい自然の景色だろうか、活気ある都会の賑わいか。もちろん旅先のおいしいグルメを抜きに観光は語れないし、素敵なホテルでの滞在も忘れられない体験となる。しかし、長い距離を実際に移動する「旅」でないと得られない感動があるとすればそれは「異文化との遭遇」だ。自分の住む地域や国とはまったくちがった環境に人々が生活を営んでいる。そこに異なった文化が存在する。地球上には今の自分とはまったく異なった生活をしている人たちがたくさんいることを肌で知ることができるのは「旅」だけだ。 『深夜特急』は作家、沢木耕太郎がアジアからヨーロッパまで路線バスで移動する日々の体験をつづった旅行記である。旅行はいわゆる貧乏旅行である。その移動を通して作者はさまざまな国の空気を吸い、人々に出会い、食べ、町を歩く。時には危険な目にもあい、不衛生な箇所にも身を置く。日本では考えられない常識に戸惑う。これらが、アジアから中東、そしてヨーロッパへの旅の中で描かれる。これらの文章から得られる内容はきっと深く貴重である。多くの学問に共通するものもあるはずだ。しかし、そのような難しいことを別にしても、この本はエキサイティングな旅の仕方を教えてくれる。旅好きな読者はいっきに6巻を読破するはずだ。この作者の旅ができる若さがあるうちにぜひ読んでほしい本である。年を取ってからでは遅い。
シリア内戦下で政府軍に包囲されたダラヤという町で、食糧も日用品も極端に不足し、毎日爆音がなり砲弾が飛び交う、明日の命すらわからない極限状態で、若者たちが本を集めて地下に作った秘密図書館の話。そこで静かに読書をし、学び、また語らうという、人間として生き、成長する喜びを味わい、仲間と明日への希望をつないだ物語。 青年の一人がいう。「ぼくは思うんです。本は雨のようなものじゃないかなって。雨は全ての者に分けへだてなく降りそそぎます。そして、雨の降りそそぐ土地に草木が育つように、本を読むことで人間の知恵は花開くんです」 コロナ禍で落ち込みそうなとき、こんな極限状態でなお読書を通して、生きる喜びや明日への希望を見出していた人たちがいたことを知り、勇気を得てともに力強く生きていく力にしていけたならと考え、この本を今だからそこ読むべき一冊として推薦します! 読書会をするとしたら、原書のMike Thomson, Syria’s Secret Library: The true story of how a besieged Syrian town hound hope. 2019, London: Weidenfield & Nicolson. の一部をぜひ英文で読んでみたいですね。
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