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【公開講座】人生100歳時代におけるキャリア形成の勧め~第2弾~

2024/05/16(木)

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講義の目的

現代は、「先の見えない時代」に突入したと言われてきた。

確かに、地球温暖化の傾向が身に迫り、自然さ医学の規模が大きくなっているにもかかわらず、ウクライナや、中東では戦争が始まっている。人類は、かつて経験したことのない、破滅への道を歩んでいるかに見える。それにもかかわらず、日本経済は、アメリカとロシアや中国の抗争の下で、地球環境の危機や大規模災害・原発事故などの自然災害や人災に直面してきた。

このような状況の中で、市民の仕事や生活を希望あるものとするのは、容易なことではない。しかし、この講義では、この厳しい時代に、「健康で生きがいのある仕事や生活」を模索して、日本社会の市民が希望を持つことができる人生を探索し、人生における幸福を実現するには、どのような社会環境を整備し、どのような道を拓けば、幸福という目標に近づくことができるのかを研究し、その道の発見に努める。その将来像を描き出すことに目標を設定した。

講義の方法

講義の方法は、テキスト=池上惇『学習社会の創造—働きつつ学び貧困を克服する経済を』京都大学学術出版会、2020年を、採用し、希望者には、献本する。そして、テキストを読み進める中で、「先の見えない時代における経営と生活」の現場を直視する。

このためには、テキストだけでなく、現代的な経営課題に挑戦してきた各位のご意見を紹介して、ご参考にしていただきたい。毎回、講義のたびに、新たな話題を提供する。題して、「今日の話題」とする。

日時日程:9月24日(火)、10月1日(火)、8日(火)、15日(火)、22日(火)、29日(火)
   11月5日(火)、12日(火)19日(火)26日(火)
時間:18:00~20:00
会場(回により対面またはオンライン)
対面の回は右記
桜美林大学 新宿キャンパス
受講料/定員無料/なし
お申込み(9月9日(月)〆切) 申し込みはこちら 
使用テキスト池上惇『学習社会の創造—働きつつ学び貧困を克服する経済を』京都大学学術出版会

講師紹介

池上惇
1933年生まれ。今年91歳。京都大学名誉教授。著作多数。瑞宝中綬章、アカデミア賞を受賞。京都と岩手で一般社団法人による学校経営を実践。また、文化経済学という、文理融合型の学術を日本に導入したメンバーの一人。文化経済学とは、環境破壊や市民生活における社会的な格差が拡大し、環境保全と「社会的なつながりを回復すること」が多くの人々にとっての切実な願いとなってきた現代において、この切実な課題に応え得る学術。

講義の内容

第1講 9月24日(火)
対面(新宿キャンパス)
はしがき-穏やかな、ともに生きる健康長寿社会を目指す方々へ

ここでは、「学びあって育ちあう」という、地域社会や家族の間で、普通に行われてきた経験から出発し、互いに人格を尊重し合い、尊敬しあう関係は、どのようにして生まれてきたか、を、日本社会や人類史の中から、研究する。テキストでは、はしがき を取り上げ、以下の順序で研究を行う。

①自然からの学習と「学びあい育ちあい」の場づくり-コロナ禍後の世界を展望して
②被災地支援の学校づくりを
③自分の可能性を拓く人々
④京都の学習現場で

今日の話題 「地域を創る」とは? 資生堂の経験
第2講 10月1日(火)
オンライン(Zoom)
序章-自然からの学習と「学びあい育ちあう」社会を目指して

ここでは、いかなる厳しい社会環境の中でも、「学ぶ自由」が法によって保障されている社会では、「学びあって育ちあう」ことが可能であること。この可能性を生かす道を研究する。具体的には、

①健康障害と社会的排除の現代社会
②穏やかに共生するには
③明治維新による学習社会への道の中断-太平洋戦争後の学習社会への道
④健康長寿社会が奄美群島で定着した
⑤各個人の、ともに生きる人生こそが、貴重な資産である=文化資本の思想

今日の話題 「現場の仲間を尊敬する」とは?
第3講 10月8日(火)
オンライン(Zoom)
第1章 これからの学習社会-被災地での新たな活動をめぐって

ここでは、被災地を例に挙げて、その現場で、「学びあい育ちあい」がいかにして可能となるのかを、研究する。この正月に発生した、能登半島地震においても、「平和な日常」、仕事と生活を取り戻すことが、大きな課題となった。水道も、電気も来ない中で、この道を発見された各位。

①はじめに-ふるさと創生大学による学習の場づくり
②共に歩んだ道-池田清氏の神戸研究
③社会人と留学生に博士の学位を-十名直喜氏の定年に思う
④おわりに-高校生への感謝の言葉とふるさと創生大学憲章

今日の話題 「高校統合を止めた人々」とは?
第4講 10月15日(火)
オンライン(Zoom)
第2章 学習社会の創造-日本の思想としての学習社会構想

日本社会は後進性があると、多くの各位が感じておられます。例えば、日本の企業は合議制で「根回し」に時間がかかる。そのために、欧米企業のように「意思決定による対応」が遅く、競争においては、敗者となる、と、多くの各位は信じておられる。企業経営のリーダーについても、より強力な意思決定のための「決断」が必要だとされる経済評論家も多い。しかし、本当は、そうとは言えないのではないかな?との問題を提起しています。

①学習社会の日米比較
②日本における学習社会の構想
③行基の実践
④欧米の人権論の検討-人権論と学習論

今日の話題 「次世代に託す思想-『朝日新聞が報道した女性社長の決断』-」
第5講 10月22日(火)
対面(新宿キャンパス)
第3章 学習格差を克服するには-「恣意」と「生命・生活への欲求」、新たな人権論の登場

生存競争と公正競争の、区別や、「公正」の意味について、深く考えてみること。これが、ここでの、基本的な、課題である。生存競争は、競争相手の、生命や生活を無視して競争をしかける。これに対して、公正競争は、競争相手の、生命や生活、人格を認め合う。いわば、個々人の個性を認め合って、共生することを想定して実行する。人格を尊重し合う、とか、尊敬しあうという「人と人との関係」は、互いに学びあって育ちあう人生の歩みを意味している。これは、新たな人権論と言えるか。

①法を暮らしの中に生かす動き
②欧米の動き-学習権確立への道=学習社会論を提起したイギリス工場査察官の労働日研究
③情報社会と学習社会
④所得格差・文化格差の是正へ
⑤生存競争社会における人間の孤立化と弱者の社会的排除

今日の話題 「生存競争と公正競争をめぐって」
第6講 10月29日(火)
オンライン(Zoom)
第4章 二宮尊徳の学習理論-二宮尊徳による報徳=学習社会の実現

ここでは、「報徳」が持つ意味を考えて、日本の学習理論が生み出されてくる、社会的な背景を考える。報徳とは、金田一京介編『新明解 国語辞典 第4版、1992年』によれば、「受けた恩を返すこと」と定義されている。恩を感じて恩を返す行為は、対人関係の中で、相手を尊敬する姿勢があってこそ、成立するので、「尊敬しつつ、相手から学ぶ」ことを意味していた。

①はじめに-報徳という表現による学習社会の創造-自然や人間同士の共生・学びあい育ちあいを実現する道
②食文化思想・実践から見た尊徳思想
③衣の文化、インテリア・デザインの現代的な展開
④学習社会の創造における私的所有の意義と限度-尊徳思想における小農の位置と地域ファンド形成の役割

今日の話題 「アメリカ人、フォレットの地域再生思想」
第7講 11月5日(火)
オンライン(Zoom)
第5章 推譲思想と尊徳仕法

尊徳には、「至誠、勤労、分度、推譲」という人生における生きる道を示唆する言葉がある。推譲という言葉は、辞書にはないが、文献によっては、「譲り合い」という定義も散見できる。「報徳」が「恩を感じて恩を返す」行為を意味するとすれば、「推譲」は、ノウハウなどの創造的な成果を、「それに、接した人々の共通のものとして、一人一人の人生を豊かにしてゆく」ことを意味していた。

①はじめに-現代に生きる尊徳思想
②推譲による総有と信託制度の活用-“荒蕪を開く物語”が生み出す推譲・総有と信託制度
③推譲による総有と私的所有を維持しつつ超えるもの-学習社会の創造を可能にする所有形態を考える
④相互扶助の文化によって新しい地域の産業を創る-地域循環型産業の展望を拓くには

今日の話題 「日本社会における地域産業の展開」
第8講 11月12日(火)
オンライン(Zoom)
第6章、第7章 文化資本の経営を生み出す学習社会-文化資本の未熟な学習社会から、成熟した社会への発展

池上惇『文化資本論入門』京大学術出版会、2017年参照。文化資本の概念を説明してから、各個々人の人生の中で蓄積された、経験や構想力を総合化する。

①はじめに-人間発達史観から見た、実現可能な学習社会の目標=文化資本の経営
②通信制教育研究システム-第1回講義録「文化資本の経営 事始め」
③コモン・ストックから人的投資へ(1)
④コモン・ストックから人的投資へ(2)
⑤結論と展望 コモン・ストックから人的投資へ(1)

今日の話題 「福原義春先生による文化資本の経営論」
第9講 11月19日(火)
オンライン(Zoom)
第8章 人権と能動的な力量-A.センの所得貧困と能力貧困を基礎に貧困克服の道を探求する

A.センの貧困論を取り上げて、彼の思想的な背景として、インドの現実と、イギリス経済学における、J.ラスキンらの経済学が存在することを説明する。

①はじめに-河上肇による現代貧困論の提起と生命・生活の危機
②T.ピケティ『21世紀の資本』
③能力貧困を克服する人類の経験
④A.センの能力貧困論
⑤身につけた力(エンタイトルメント)と能動的な力(エンパワーメント)

今日の話題 「貧困論、最前線での課題」
第10講 11月26日(火) 対面(新宿キャンパス)おわりに-学習理論の創造=格差克服への道が目指すもの-ふるさと学校づくりを日本と世界に

いかに、厳しい戦争や大災害に直面しても、「文化による‘まちづくり’、‘地域づくり’への市民活動」は停止しないで、より大きく発展するという「潜在力」を発見してきた。その焦点は、「ふるさと学校づくり」にあるのではないか。

今日の話題 「地域づくり」に関する日本と世界の市民活動を考える。

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