アメリカンフットボール部 主将 足立 優輝
亡き友にささげる、甲子園ボウル勝利へ
アメフト部 主将 オフェンスライン
足立 優輝 リベラルアーツ学群 4年
東京都 東海大学付属高輪台高等学校出身

日本一になれる環境がある。背中を押してくれたコーチの想い
アメリカンフットボールとの出会いは、テレビで放映していたNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)を偶然目にしたときです。もともと小学1年生から中学生までバスケットボールをしていましたが、コンタクトスポーツならではの迫力あるパワープレーに、一瞬にしてその魅力に取りつかれました。高校から始めて、今年で7年目になります。
「日本一になれる環境がある」、それが桜美林大学への進学を決めた理由です。当初は高校卒業後も同じチームメイトとアメフトをしたいという気持ちがあり、エスカレーター式での大学進学を考えていました。そんな時に、声をかけてくださったのが桜美林の前任コーチ。何度も地元にきてくれて、「一緒に日本一にならないか」と熱い思いを語ってくれました。その高い志に背中を押され、桜美林大学アメフト部への入部を決意しました。今でも当時の決断に後悔はありません。
アメフトをやりたくない。一度は諦めかけた日本一の夢
2019年に下位リーグのBIG8から上位リーグのTOP8に上がり、着実にチームの成長を感じていた大学3年生のとき、同期の荒巻大介を亡くしました。彼は下級生の頃から主要選手として活躍し、誰からも慕われるムードメーカーのような存在でした。また練習後は私の家に泊まりにきて、翌朝一緒に練習に行くなど、部活動以外の時間も共に過ごした親友でもありました。彼の死後、「アメフトをもうやりたくない」と考える自分がいました。
喪失感にさいなまれる中、救ってくれたのは荒巻のお母さまの「大介のために戦ってほしい」という言葉です。その一言が再びチーム、そして私自身を前に向かせてくれました。迎えた2020年の明治大学との試合は忘れられない一戦。ヘルメットに彼のイニシャルのステッカーを貼り、私は彼が愛用していたグローブも着けてフィールドに立ちました。メンバー全員が「荒巻のために勝つ」と強い意志のもと団結することで、勝利を手にすることができました。これからも毎試合、応援席でサポートしてくださっている荒巻のお母さまのために、元気と勇気を与える試合を見せていきたいと思います。
今、チームに必要なのは、日本一になるためのマインド
昨年は日本一を決める甲子園ボウル出場まであと1勝というところで敗れてしまい、悔しい思いをしました。前半は同点までもっていけていた試合が、後半に突如として点差が開きました。敗因を問われれば、それは「日本一にかける思いの差」です。相手は通算35回の甲子園ボウル出場を誇る日本大学。強豪チームとの対決に、どこかで「勝てたらいいな」という気持ちの甘さがあったと思います。
同じ敗戦を二度と味わわないためにも、今必要なのは「日本一になるためのマインドをもって生活をすること」。例えばメンバーが練習に遅刻したりするような部は、日本一になれるとはいえません。高いビジョンだからこそ、私生活においても当たり前とされている行動をとれているのか、常にこのことを意識するようメンバーには指導しています。
しかし100人以上いるアメフト部全員の多様な価値観をまとめるのは、簡単なことではありません。まずは主将として、率先してその姿をみせていくこと。そして、これまで以上にメンバーとのコミュニケーションを欠かさず、自分の思いを伝えることを大切にしています。今年こそ、荒巻とともに甲子園ボウルのフィールドに立ち、必ず日本一の称号をつかみ取ります。