アメリカンフットボール部 境 大輝
さらに、フィジカルを強化し、TOP8にふさわしいチームを目指す
アメリカンフットボール部 タイトエンド
境 大輝 リベラルアーツ学群 4年
東京都 郁文館高等学校出身

バスケットボールからアメリカンフットボールに挑戦する
高校の時は、都下では無名に近いバスケットボール部に所属していた。練習は走り込みが多く、体力的には引けをとらないが、やはり、スキルは他の強豪校に歯が立たなかった。だから、大学でバスケットボールを続けたいかと聞かれたら、そこまでのモチベーションはないと言葉を濁すしかなかった。
桜美林大学は志望校の一つだった。どんな大学なのかを知りたくて、オープンキャンパスより大学祭の方が大学の雰囲気がわかると思い、参加してみた。学生たちは生き生きと活動していて、まじめそうで品がよく、私がタイプとして苦手な遊び人の派手さを持つ人たちもいなかった。キャンパスもきれいで広く、施設も人もとても印象が良かった。私は桜美林大学を第一志望として受験した。
入学後、クラブの勧誘で、私の身長の高さを見たアメリカンフットボール部のスタッフに声を掛けられた。私はバスケットボールしかやったことがないと話したけれど、一度、体験に来てほしいと言われ、軽い気持ちで参加することにした。体験したのはフラッグフットボール。アメリカンフットボールから生まれた遊びで、タックルの代わりに腰につけたフラッグを取り合うゲームである。危険性が低く、最近は、体育の授業に取り入れる小学校もあるらしい。
それが意外に楽しく、足に自信がある私は、このゲームが性に合っていた。スタッフから、このゲームの延長線上にアメリカンフットボールのだいご味があるといわれ、がぜん興味を持った。バスケットボールのステップの切り返しなど、これまで鍛えてきた身体能力が生かせるスポーツだと思えたからだ。
フィジカルの鍛え方が全然違うアメリカンフットボール。体づくりに励む
体と体がぶつかり合う迫力は本当にすごい。入学当初、私は183cm、78kgだった。その体が簡単にふっ飛ばされてしまう。アメリカンフットボールでの体のぶつかり合いはこれまで体験したことのない衝撃だった。私はとにかく体を作らなくては話にならないと思った。その頃には大学の寮に入っていたが、昼食時は、寮に戻って自炊してお米2合を食べるなど、トレーナーと相談しながら目標を決め、とにかく体重を増やす努力をした。また、平行してベンチプレスやスクワットなど、ウエイトトレーニングでの筋力アップも欠かさなかった。それでも1年生の時は試合に出ることがなかなかできなかった。
桜美林大学の監督・コーチは勝てる試合は大差で勝てるように指導していた。点差に余裕があれば、第4クオーターでこれまで試合に出ていなかった選手を出して経験させることができる。みんなで仲間を育てる機会を作ることもチームワークの一つであるという教えだった。いくつかの試合でそのチャンスが訪れたが、なかなか生かしきれなかった。
私に転機が訪れたのは、1年が終わり2年生に上がる前の春休みだった。日米学生の親善試合「トモダチボウル」が開催され、その参加者として関東リーグに参加する大学の1・2年生から学生を選抜し、交流試合を行うというものだった。相手は基地にあるアメリカンスクールの高校生たちのチーム。当時、桜美林大学はBIG8のリーグで戦っていたが、その上のTOP8の学生たちも集まった。彼らとポジションを競い合っているうちに、いつしか私は体が仕上がっていることに気づき、また、彼らの動きからいろいろなことを学ぶことができた。20kg近く体重が増えた体には、競っても負けない、そんな自信がつき始めていた。
重要な戦術を理解しながら、今年はTOP8を目指し、来年につなげていく
2年生から私は毎試合出られるようになった。ポジションはタイトエンド(TE)。TEはオフェンスラインとレシーバーの両方の特性を持つポジションである。ワイドレシーバーを活かすブロックもすれば、自身がパスを受け取ることもできる。そのため、TEの動き一つで、ランプレーなのかパスプレーなのか、相手をかく乱することができ、戦略上重要なポジションといわれている。特に桜美林大学はランプレーを得意としていることからTEにはさまざまな動きが求められている。
TEを任されてから私はチーム全体を見渡すようになったと思う。戦略上、それは求められる能力だが、その戦略を理解する過程で、監督やキャプテンとコミュニケーションを取る機会も多くなり、また、戦略の浸透を図る上で仲間とも話す機会が多くなった。この役割は、私に合っていた。私はもともと「盛り上げ役」を買って出るタイプで、試合で攻撃がなかなか上手くいかない時は、率先して円陣を組み、声かけをするような性格である。自分の役割を全うすれば、きっと、チームの力となって現れる。そう信じて毎日の練習に取り組んでいる。
もうすぐ、秋のリーグ戦を迎えるが、2年続けて私たちはTOP8への切符を寸前で逃している。今年はBIG8で全勝優勝し、TOP8に昇格することが目標である。そして、来年は桜美林大学初のTOP8メンバーとして戦いたい。