開講年度 | 2012年度 |
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開講学期 | 2012年度 秋学期 |
授業コード | 29216 |
科目 | 近代日本の外交 |
教員氏名 | 伊勢 弘志 |
授業種別 | 週間授業 |
授業概要 | 近代日本の外交をテーマとして、現代の日本社会の前提にもなっている19世紀から20世紀にかけての国際環境を知るために、幕末維新期から第二次世界大戦の終結と戦後外交の展開までを扱う。 外交史を理解する際、国際政治学によるアプローチでは各国の行動そのものよりも相互の国家同士の関係性から世界情勢を把握することに重点が置かれているのに対して、歴史学での外交史は日本の国内問題としての議会政治(国内政治史)や、政局を体系的に分析して評価しようとする政策決定論として研究されてきた。 本講義では、両分野の蓄積を踏まえた双方の視点から、一国史的に留まらない歴史(脱国家的な視点)の理解を求めて、一次資料にも触れながら、近代日本がどのように国際秩序に向き合ったのかを学習する。 |
到達目標 | 1)、近代日本の外交史を理解でき、現在の東アジア情勢の前提が理解できる。 2)、現在のの国際政治や東アジア問題の様々な場面で、歴史的な理解を踏まえた討議ができる。 3)、脱一国史的な視点を得ることで、多面的な分析ができる。 4)、当時の国際環境や世界の思想潮流が、どれほど近代日本に影響しているかを知り、歴史が何によって 動かされるかを考えることで、国家間関係の構造的理解ができるようになる。 5)、発想・発意によって、自身が今もっている関心が授業内容とどのように関わり、位置づけられるかを考え る。自分の様々な目標と結びついた課題設定ができるようになることで、分析と発見の能力・セレンディピ ティー(偶然の発見を手にする才能/予期しなかった発見に出会う能力)を発揮するための主体的な姿 勢が訓練される。 |
授業計画 | 第1回(9月20日) 授業内容(1) 近代日本と「外交」 第2回(9月24日) 授業内容(2) 国際社会の中の明治維新1 -幕末外交と「安政の五カ国条約」- 第3回(9月27日) 授業内容(3) 国際社会の中の明治維新2 -岩倉使節団の国際認識と「万国公法」- 第4回(10月1日) 授業内容(4) 東アジアにおける帝国主義の展開 第5回(10月4日) 授業内容(5) 征韓論と台湾出兵 第6回(10月8日) 授業内容(6) 条約改正交渉と「文明観」の形成 第7回(10月11日) 授業内容(7) 日本の東アジア戦略と対朝鮮外交 第8回(10月15日) 授業内容(8) 帝国議会の発足と「外交政略論」 -「主権線」・「利益線」戦略- 第9回(10月18日) 授業内容(9) 日清戦争と三国干渉 第10回(10月22日)授業内容(10)北進事変と極東情勢 -英露グレイトゲームの展開と日本外交- 第11回(10月25日)授業内容(11)日露戦争と東アジ世界 -日英同盟協約をめぐる日本外交- 第12回(10月29日)授業内容(12)「日露戦後経営策」と日米関係 第13回(11月5日) 授業内容(13)「韓国併合」 -現代にまで続く領土問題の遠因- 第14回(11月8日) 授業内容(14)第一次世界大戦と日本の「対華二十一カ条要求」 第15回(11月12日)授業内容(15)シベリア出兵と日米関係 第16回(11月15日)授業内容(16)国際連盟の発足と国際秩序の転換 第17回(11月19日)授業内容(17)戦争違法化の国際社会と「借款外交」(国債借款団の形成とその意味) 第18回(11月22日)授業内容(18)ワシントン体制と軍縮の国際秩序 第19回(11月26日)授業内容(19)「日ソ基本条約」と「治安維持法」 第20回(11月29日)授業内容(20)中国ナショナリズムと日本 -山東出兵と東方会議- 第21回(12月3日) 授業内容(21)ロンドン条約と政党政治 第22回(12月6日) 授業内容(22)満州事変と国際連盟脱退 -国際秩序への挑戦- 第23回(12月10日)授業内容(23)満州国の実態 第24回(12月13日)授業内容(24)日本人移民の「生活史」-近代日本の移民史- 第25回(12月17日)授業内容(25)日中全面戦争と「東亜新秩序」構想 -和平工作の失敗- 第26回(12月20日)授業内容(26)ノモンハン事件と第二次世界大戦 -「枢軸世界」の創出- 第27回(12月24日)授業内容(27)アジア太平洋戦争の開戦と「大東亜共栄圏」 第28回(1月10日) 授業内容(28)日本の敗戦と「占領期外交」 第29回(1月17日) 授業内容(29)サンフランシスコ体制と戦後世界 第30回(1月21日) 授業内容(30)日米安保条約の成立と現代社会 |
授業時間外学習 | 準備学習を通じて、発想・発意などの考え方の訓練や、プレゼンテーション・コミュニケーションなども訓練できるように意識して授業の内容に向き合う。 |
テキスト | 特になし(授業毎にレジュメを配布する)。 |
参考書 | 井上寿一『日本外交史講義』(岩波書店、2003年)。 衞藤瀋吉『近代東アジア国際関係史』(東京大学出版、2004年)。 大日方純夫・山田朗『近代日本の戦争をどう見るか』(大月書店、2004年)。 酒井哲哉『近代日本の国際秩序論』(岩波書店、2007年)。 坂野潤治『近代日本の外交と政治』(文研出版、1985年)。 など。 |
評価基準 | 授業後に毎回実施する「授業所見/質問・意見カード」を30パーセント、レポート70パーセントで評価する。 A:90以上 B:80以上 C:70以上 D:60以上 F:60未満とする。 |
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最終更新日 | 2012/07/29 |