シラバス詳細情報

開講年度 2012年度
開講学期 2012年度 秋学期
授業コード 29011
科目 倫理学概論
教員氏名 中島 吉弘
授業種別 週間授業
授業概要  倫理学は、何が〈 善く 〉、何が〈 正しい 〉のかを徹底して考えぬく哲学の営みである。
 授業では指定テキストや参考書を手がかりにして、まず倫理学説史を手短に概観し、次いで倫理学の諸理論に関する基礎知識を獲得していく。その上で、現代社会が遭遇している具体的諸問題に取り組む新たな倫理学の姿(例えば種々の応用倫理学や応答哲学、就中、社会倫理学・社会哲学)と可能性を具体例を示しながら講義する。
到達目標 ・倫理学とはどのような知の営みであるのかをしっかりと理解できる。
・倫理学のテーマや論点が現代社会の時事問題の中に生き生きと読み取れるようになる。
・倫理学の視点から、将来社会のあるべき姿がイメージできるようになる。
・倫理学の知見を活用・応用して自分なりの意見をつくりあげ、それを他者に説得力ある形で論理的に伝えられるようになる。 
授業計画 ◆ シラバスは授業の進捗や必要に応じて、変更や調整・圧縮、入れ替え等が行われる場合がある。

1.受講ガイダンス(自己紹介、成績評価基準と評価方法、その他に関する履修前の確認事項)
   ・導入講義:リベラルアーツという学習スタイルと倫理の意味について

Ⅰ 倫理学説史のアウトライン
2.古代と中世の倫理
3.近代の倫理
4.現代の倫理

Ⅱ 倫理学の諸理論
5.義務論
6.功利主義
7.社会主義

● レポート(1)の提出

8.生の哲学
9.実存主義
10.メタ倫理学
11.討議倫理学
12.正義論
13.徳倫理学
14.ポストモダニズム

● レポート(2)の提出

Ⅲ 倫理学の諸課題
15.世代間倫理と責任倫理
16.動物・自然物の権利と環境倫理
17.生命の始まりと終わり(医療技術の進歩と生命倫理)
18.福祉と優生思想(ケアの倫理と淘汰の思想)
19.科学技術と倫理(サイボーグ工学と神経倫理)
20.情報と倫理
21.経済活動とビジネス・経済倫理
22.戦争・平和と世界倫理

● レポート(3)の提出

Ⅳ 社会正義論と人権思想の意義と可能性−社会倫理学・社会哲学への途
23.ハンセン病問題と功利主義批判(1)
24.ハンセン病問題と功利主義批判(2)
25.水俣病問題と生産力ナショナリズム批判(1)
26.水俣病問題と生産力ナショナリズム批判(2)
27.ワーキングプア問題と公正な社会
28.3.11福島原発事故の衝撃と学知の脱構築(1)-現代科学技術文明のどこに問題があるのか?
29.3.11福島原発事故の衝撃と学知の脱構築(2)-われわれはどう判断すべきか?
30.3.11福島原発事故の衝撃と学知の脱構築(3)-われわれはどう生きるべきか?


◆ 学期末筆記試験+授業評価アンケート 
授業時間外学習 ・配布するハンドアウトや添付資料、紹介する文献等を中心にして、個々の倫理学説やキーワード、歴史上の事件等について、図書館やインターネットを利用して予習・復習する。
・授業で取り上げた倫理学者の著作の中で読みやすそうなものを一冊選び(推奨テキストを含む)、それを秋学期中に一人ないしグループで最後まで読み通してみる。
・カリキュラム外の読書会(哲学・思想古典読書会)その他にも参加してみることを推奨する(任意:単位認定や成績評価とは無関係であるが、倫理学の理解を深めることができる)。  
テキスト テキスト 小松光彦・樽井正義編『倫理学案内—理論と課題』慶應義塾大学出版会、2006年、3,000円。 
参考書 ・桜美林大学国際学研究所編『東日本大震災と知の役割』勁草書房、2012年。
・笠松幸一・和田和行編『21世紀の倫理』八千代出版、2004年、2,800円。
・ジェームス・レイチェルズ『現実をみつめる道徳哲学−安楽死からフェミニズムまで』晃洋書房、2003年、2800円。
・小坂国継/岡部英男編『倫理学概説』ミネルヴァ書房、2005年、3000円。
・坂井昭宏・柏葉武秀編『現代倫理学』ナカニシヤ出版、2007年、2400円。
・川本隆史『現代倫理学の冒険』創文社、1995年、3605円。 

・高木仁三郎『原子力神話からの解放』講談社+α文庫、762円。
・高木仁三郎『いま自然をどうみるか』白水社、1990年.1700円。
・原田正純『豊かさと棄民たち』岩波書店、2007年、1100円。
・石牟礼道子『新装版 苦海浄土』講談社文庫、2004年、700円。
・山本義隆『福島の原発事故をめぐって』みすず書房、2011年、1000円。
・田中三彦『原発はなぜ危険か』岩波新書、1990年、700円。
・S・アレクシエービッチ『チェルノブイリの祈り』岩波書店、1998年、2000円。
・吉岡斉『新版 原子力の社会史』朝日新聞出版、2011年、1900円。
・石橋克彦編『原発を終わらせる』岩波新書、2011年、800円。
・広瀬隆・明石昇二郎『原発の闇を暴く』集英社新書、2011年、760円。
・安富歩『原発危機と「東大話法」』明石書店、2012年、1600円。
・鶴見和子『言葉果つるところ 石牟礼道子の巻』藤原書店、2007年、2200円。
・石牟礼道子・多田富雄『言魂』藤原書店、2008年、2200円。
・多田富雄・柳澤桂子『露の身ながら』集英社、2004年、1470円。
・広瀬隆『第二のフクシマ、日本滅亡』朝日新書、。2012年、820円。
評価基準 Ⅰ 成績判定基準
  A  Excellent:特に優秀な成績(90−100点)
  B  Good:すぐれた成績(80−89点)
  C  Fair:一応その科目の要求を満たす成績(70−79点)
  D  Minimal Pass: 合格と認められる最低の成績(60−69点)
  F  Failure:不合格(0−59点)

Ⅱ 成績評価の手法
ⅰ 全授業日数の2/3以上の出席がなければ、単位の認定対象から除外する。
ⅱ 学期末筆記試験は定期試験期間に一切参照不可の条件の下で受験し、答案を提出しなければならない。
ⅲ 3つのレポートはすべて提出しなければならない。
ⅳ レポート提出の遅れは2週間以内を限度とする。
ⅴ 3つのレポート(40%)と学期末筆記試験(30%)に、小テスト+リアクションペーパーを兼ねた出席票により確認される授業への参加状況(出席数、種々の提出課題への応答状況、講義内容の理解度や学習の意欲・姿勢・マナーなど 30%)の評価(加点・減点方式)を加味した上で、本学の相対評価基準を目安にして成績評価を最終判定する。
ⅵ 欠席届の提出に際しては、所定の欠席届用紙に理由を書ける範囲で具体的に書くこと。また、忌引、病欠、クラブ活動等による欠席は、公欠扱いとはならない。ただし、最終評価の際に欠席事由を考慮する場合がある。
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最終更新日 2012/08/20