開講年度 | 2011年度 |
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開講学期 | 2011年度 秋学期 |
授業コード | 35020 |
科目 | 社会言語学 |
教員氏名 | 宮副ウォン 裕子 |
授業種別 | 週間授業 |
授業概要 | 【授業の概要と到達目標】 本科目の受講生は、受講(22.5時間のコンタクトアワー)終了時に次のことができることが期待されている。 1)マクロ社会言語学とミクロ社会言語学における主な理論を学び、ことばと社会のかかわりをクリティカルに観察・記述・分析・考察できる。 講義で扱うテーマには、言語接触、言語管理、言語変種、言語の実際使用、接触場面の言語行動、二言語・多言語使用者の実態やアイデンティティ、バイリンガリズム、マルチリンガリズム、複言語・複文化主義、 二(多)言語併用、インターアクションの社会言語学などが挙げられる。 2)言語教師として、現場の教育実践に社会言語学的理論や考察をどのように生かすか、他の受講生とともに協働的かつクリティカルに討論できる。 3)言語教師として、メディア・リテラシーの理論と実践を学び、現場の教育実践に生かすごとができる。 学習者が一市民として期待されている<クリティカルはメディアの読み取り>と、文脈に即したことばの学び を身につけることができるような、効果的な課題や活動を設計することができる。 4)受講生は個人やグループで、文献講読の発表や討論を、双方向的かつ協働的に行う。 5)最終課題としてミニプロジェクトを計画・実行し、レポートにまとめる。他の受講生に向けミニプロジェクトの考察 結果を発表し、協働的に討論活動を執り行う。 ミニプロジェクト推進の具体的な方法は、受講者が興味を持つ社会言語学関連のテーマを選択し、研究課題を設定し、データを収集し、実証的かつ論理的に課題を解明する。 【長期的目標】 本科目受講後、受講生は下記のようなことを自律的かつ継続的に学び、言語教師として教育実践に生かすことが、長期目標として期待されている。 1)自分が興味を持つ社会言語学の領域について、継続して 最新の研究動向や情報を得るよう努める。 2)社会言語学に関する知見や理論、またメディアリテラシーの理論と実践方法を、言語教師として担当科目の「シラバス設計」 「教室内・教師外の活動設計」「教材開発」「言語運用能力の評価法」などに適切に応用し、教育実践の改善に役立てる。 3)受講者は「教師/研究者(teacher-researcher)」 および 「内省的実践者(reflective practitioner)」としての視点を持ち続ける。具体的には、次のようなことに取り組む。 (a) 教室内と教室外におよぶ学習者の「言語の学習および実際使用状況」を、その社会文化的な文脈に即して観察する。データの収集・分析・考察を行い、実証的な研究を計画し、遂行する。学習者のニーズや(言語の学習および実際使用にかかわるもの)を調査分析・考察し、その成果を教育実践に生かす。 (b) 上記のような実証的研究の成果を研究会や学会等で口頭発表する。あるいは、報告書や論文にまとめ、各種紀要や学会誌に投稿する。それにより、言語教育学の理論的構築または実践的研究の知見を、他の言語教育専門家と共有する。 |
授業計画 | 授業計画 第1回 講義内容の紹介、課題について(文献講読、ミニプロジェクト)、 本科目に期待することにかかわるアンケート(受講前学習契約アンケート)の実施、 属性とことば、変種 第2回 言語行動、インターアクションの社会言語学、言語生活、言語接触、など 第3回 メディア・リテラシーの理論と実践(1) 【実践編】メディア利用の課題・活動設計 (Youtube利用の大衆文化クラスの課題設計) 第4回 バイリンガリズム、マルチリンガリズム、二(多)言語併用、複言語・複文化主義 第5回 二(多)言語話者の言語使用とアイデンティティ、コードスイッチ 第6回 言語意識(attitudes, awareness, ideology...) 、言語計画、言語管理、言語政策、など 第7回 メディア・リテラシーの理論と実践(2)(Youtube利用の大衆文化クラスの課題設計) 第8回 メディア・リテラシーの理論と実践(3)(雑誌、映像リソース利用の大衆文化クラスの課題設計) 【中間レビュー(15分: Mid-term review)】 1−7週までの授業内容・進度について受講者全員と教員が意見交換および討論をする。 その結果を後半(8−15週)の授業の改善のために役立てる。 第9回 文献講読と討論(1)接触場面のインターアクション分析(会話上の交渉) 言語接触とスピーチコミュニティー 第10回 文献講読と討論(2)言語と文化、属性とことば、変種 第11回 文献講読と討論(3)言語学習、言語使用、アイデンティティ 第12回 ミニプロジェクト発表(1)接触場面に関連するプロジェクト 第13回 ミニプロジェクト発表(2)二(多)言語話者に関するプロジェクト 第14回 ミニプロジェクト発表(3)接触場面のインターアクションに関するプロジェクト 第15回 まとめ、学びの振り返りアンケート(受講後学習契約アンケート)の実施 全学授業アンケートの実施 |
テキスト | 真田信治(編)(2006)『社会言語学の展望』くろしお出版 宮崎里司/ヘレン・マリオット(編)(2003)『接触場面と日本語教育−ネウストプニーのインパクト−』明治書院 Li Wei (ed) (2000) The Bilingualism Reader (2nd edition). Oxford: Routledge. |
参考書 | 田中春美・田中幸子(1996)『社会言語学への招待−社会・文化・コミュニケーション−』ミネルヴァ書房 中尾俊夫・日比谷潤子・服部範子(1997)『社会言語学概論−日本語と英語の例で学ぶ社会言語学』くろしお出版 ロング、D.・中井精一・宮治弘明(編)(2001)『応用社会言語学を学ぶ人のために』世界思想社 『講座 社会言語科学』全六巻 ひつじ書房 Gumperz, J. (1982)Discourse Strategies. Cambridge: Cambridge University Press. [井上逸兵他訳(2004)『認知と相 互行為の社会言語学』松柏社] |
評価基準 | 1)授業時間の積極的な参加と貢献(第1〜15週) 20% 2)メディア利用の大衆文化クラスの課題設計 30% 2)論文講読の口頭発表(第8〜11週に発表) 20% 3)ミニプロジェクト口頭発表とレポート(第12〜14週に発表、提出) 30% 【評価基準】 課題設計、論文講読、ミニプロジェクトがきわめて優秀で、授業への参加・貢献が積極的=A 課題設計、論文講読、ミニプロジェクトが優秀で、授業への参加・貢献が積極的=B 課題設計、論文講読、ミニプロジェクトは優秀だが、授業への参加が消極的=C 課題設計、論文講読、ミニプロジェクトは要求を満たすものだが、授業への参加が消極的=D 上記いずれもが要求を満たさない場合=F 【注意事項】 1)欠席が授業回数の3分の1を超えた者は、評価の対象としない。 2)課題(ミニプロジェクトなど)の提出が指定された締め切りに遅れた場合、原則として、評価の対象としない。 |
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備考 | Hudson, R. A. (1980) Sociolinguistics. Cambridge: Cambridge University Press. Holmes, J. (1992) An Introduction to Sociolinguistics. New York: Longman. Wardhaugh, R. (1992)An Introduction to Sociolinguistics. Basil Blackwell. [(田部滋、本名信行監訳 (1994)]『社会言語学入門(上巻、下巻』リーベル出版 |
最終更新日 | 2011/08/27 |