シラバス詳細情報

開講年度 2011年度
開講学期 2011年度 秋学期
授業コード 29417
科目 現代中国文化論
教員氏名 李 恩民
授業種別 週間授業
授業概要 本授業の目標は現代中国文化の多様性を、比較の視点に立って総合的に考察させ、中国文化の伝統と特色についての認識を深めさせることである。この認識のプロセスを通して、学生の複眼的思考力を培い、国際的な人材としての資質を養う。

本授業で毎回検討していくのは、狭義の中国文化ではなく、現代社会に生きる幅広い意味での文化の実態である。そのための一つのアプローチとして、授業は中国の都会と農村、漢民族と少数民族の文化の異同から、また教育・芸術(映画・テレビ等)・環境等の側面から、現代中国が抱えるいくつかの敏感な政治問題・社会問題を、受講者と共に考えてみたい。時には、日本の政治文化と中国の政治文化(政治体制)、伝統文化と外来文化の比較も行う。勿論、欧米・日本・東南アジアなどの華僑華人社会に生きる特有の「中国文化」も考察の対象としている。

本授業の進め方は講義とリアクション・ペーパーの提出・質疑応答・Debatingを中心とする。講義の内容によって次のような方法を取る場合もある。第一、皆で一次史料を読んでその内容について活発な討論をする。第二、歴史ドキュメンタリー・関連映画などを見せた上で、小レポートを課して問題意識の形成を促す。第三、各自が興味のある関連問題について資料を調査し、その結果を小レポートとして提出・発表(Debating Speech)する。担当教員が小レポートの内容について論評し、補足説明・総合分析を行う。
授業計画 第01〜02週 現代中国の政治文化・教育体制
 政治機構論・党派論・権力運営論・政治改革の行方・教育制度と現状
第03〜04週 少数民族と中国文化
国境地域の貧困と開発・民族文化伝承・少数民族と漢民族の文化交流
第05〜06週 チベットの文化
歴史・宗教信仰・「輪廻転生」と「金瓶掣定」制度の現在
第07〜09週  都市と農村:「南水北調」をめぐる開発と環境
世界の水環境・中国水環境・「南水北調」論争と現状
第10〜13週  華僑・華人ネットワークと中国文化
華僑華人概論・日本社会の華僑華人・東南アジア社会の華僑華人・
アメリカ社会の華僑華人・ヨーロッパ社会の華僑華人
第14〜15週  文学作品に見る中国人の自国・他国歴史観:日中戦争・大躍進・文化大革命

最終レポートをもってDebating Speechを実施する場合もある。

テキスト 特定のテキストを使わないが、指定図書(参考書)を一冊読むことが必要です。
参考書 ルシアン・W・パイ(Lucian W. Pye)著、園田茂人訳『中国人の交渉スタイル—日米ビジネスマンの異文化体験』、大修館書店、1993年 
Richard Solomon, Chinese Negotiating Behavior: Pursuing Interests Through "Old Friends, United States Inst of Peace, 1999.
可児弘明、斯波義信、游仲勲編『華僑・華人辞典』弘文堂、2002
田中恭子『国家と移民』名古屋大学出版会、2002年
李恩民「『南水北調』をめぐる開発と環境」(藤田和子編『モンスーン・アジアの水と社会環境』(世界思想社2002年版、所収)
評価基準 出席(20%・一回欠席2点減)、最終レポート(80%)の総合点を判断基準にして成績を評価します。総合点が90点以上かつ皆勤の場合「A」、80〜89点の場合「B」、70〜79点の場合「C」、60〜69点の場合「D」、59点以下の場合を「F」(不合格)とします。
注意:本授業は一回目から出席を取ることにしています。履修希望者は最初から出席すること。
URL http://www2.obirin.ac.jp/~lienmin/
備考 オフィスアワー: 掲示の通り
アポを取る必要はありませんので、気軽に来てください。
最終更新日 2011/08/02