シラバス詳細情報

開講年度 2011年度
開講学期 2011年度 秋学期
授業コード 29207
科目 文化人類学
教員氏名 鷹木 恵子
授業種別 週間授業
授業概要  「人間は、意味の編目に支えられて生きる動物」というマックス・ウェーバーの言葉を援用し、C.ギアツは、このような「意味の網目」を文化と定義ました。 文化人類学という学問は、それに倣えば、私たちの「意味の網目」とは異なる異文化社会の「意味の網の目」を読み解き、解釈し理解する学問と言えます。この授業では、まず文化人類学の基本的考え方や、その主要な研究手法であるフィールドワークについて解説した後、具体的には主にアラブ・イスラーム世界の事例を取り上げていきます。日本では、イスラームについては馴染が薄く偏見も多いようですが、現在、世界総人口の約5分の1がイスラーム教徒です。日本人のものの考え方や習慣とはさまざまに異なるイスラーム文化について学ぶことで、また自文化との比較を通じて、広く人間とは何か、文化とは何か、さらに自分とは何かについて考察を深めていければと願っています。そうしたものの見方は、現代のグローバル化時代には誰にでも必要とされるものでしょう。
授業計画 1. 授業のオリエンテーション: 文化人類学とはどのような学問か
2. 文化の概念とグローバル化時代におけるその概念の曖昧さ、複合性、可変性
3. 文化人類学の調査手法としてのフィールドワークとその実践過程での諸問題
4. 研究対象・地域の設定: 中東・北アフリカのアラブ・ムスリム地域の事例から
5. 生態的環境と文化としての生業(1): 狩猟採集・遊牧牧畜・農耕・手工業・商業交易
6. 生態的環境と文化としての生業(2): 狩猟採集・遊牧牧畜・農耕・手工業・商業交易
7. 物質文化と生活技術(1): 衣の文化の多様性とその意味と機能
8. 物質文化と生活技術(2): 食の文化の多様性とその意味と機能
9. 物質文化と生活技術(3): 住の文化の多様性とその意味と機能
10. 個人と族的紐帯とそれを超えるもの: 家族・親族・部族・民族そしてウンマ
11. 個人・集団・国家とアイデンティティの複合性
12. 宗教的信仰と儀礼(1) — イスラームの事例
13. 宗教的信仰と儀礼(2) — イスラームの事例
14. 宗教的信仰と儀礼(3) — 諸宗教の事例
15. 異文化表象をめぐる諸問題: オリエンタリズムが投げかけた問題
16. グローバルイシューとしてのジェンダーと文化(1) ムスリム女性のベール問題
17. グローバルイシューとしてのジェンダーと文化(2) GLBTと同性婚をめぐる問題
18. グローバルイシューとしての開発と文化 (1) 「開発」とは何か
19. グローバルイシューとしての開発と文化 (2) 誰のための「開発」か
20. グローバルイシューとしての貧困削減(1) 「貧しさ」「豊かさ」とは何か
21. グローバルイシューとしての貧困削減(2) 絶対的貧困の撲滅に向けて
22. グローバルイシューとしての貧困削減(3) 社会的企業の目指す方向
22. 国際援助協力と文化人類学: 援助がもたらし得る諸課題
23. 国際援助協力と文化人類学: 土着技術と適正技術
24. 国際援助協力と文化人類学: イスラーム社会での事例研究
25. 文明間対話とその実践事例: キリスト教の事例
26. 文明間対話とその実践事例: イスラーム・スーフィー教団の事例
27. 現代世界におけるトランスナショナリズムと文化(1)
28. 現代世界におけるトランスナショナリズムと文化(2)
29. 文化人類学の現代的意義と諸課題
30. 学期末レポート試験

 各テーマと関連したビディオ教材なども随時、使用しつつ授業を進める予定。
テキスト 初回の授業の折に数冊の課題図書を紹介する。
その中から1冊を選び、読書ノートを作成し、提出する。
参考書  初回の授業の折に、文化人類学関連の文献リストを配布する。
評価基準 ・出席と授業態度: 20%
・リアクションペーパー: 20%
・中間で提出する読書レポートの内容: 30%
・学期末レポート試験: 30%

90点以上 = A
80点以上・90点未満 = B
70点以上・80点未満 = C
60点以上・70点未満 = D
60点以下 = F(不合格)
URL
備考
最終更新日 2011/08/03