2018年度の本学教員著作寄贈図書 | 桜美林大学図書館

2018年度の本学教員著作寄贈図書

サイチンガ研究 : 内モンゴル現代文学の礎を築いた詩人・教育者・翻訳家

タイトル:サイチンガ研究 : 内モンゴル現代文学の礎を築いた詩人・教育者・翻訳家
著者名:都馬バイカル著
出版:論創社
ISBN:9784846017781
請求記号:921.7/Sa99/T

 徳王政権の派遣で、1937年に日本へ留学し、1941年末帰国したサイチンガは、モンゴル民族への近代的な教育の必要性を痛感した。モンゴル文学の創始者と評価されるほど旺盛な創作(主に詩)を続けるとともに、女子教育に力を注いだ。彼は日本の敗戦、内モンゴル自治政府の設立、中華人民共和国の誕生、そして中国の反右派闘争、文化大革命等の激しい歴史的政治的変転によって翻弄されていった。
 本書は内モンゴル現代文学の創始者で、1930年代からモンゴルの精神的近代化に邁進しながら迫害死したサイチンガの生涯を明らかにした初の本格的な研究書である。
目次
まえがき
第Ⅰ部 サイチンガの生涯とその作品 
少年時代/小学校時代と役人時代/青年学校時代/日本留学時代/徳王政権下の職員時代/モンゴル人民共和国へ/内モンゴル自治区での活動
第Ⅱ部 文学テクストのオリジナリティ喪失と変容 ——サイチンガの『沙原・我が故郷』について
    三つの『沙原・我が故郷』/テクストの比較/三つの『沙原・我が故郷』の運命/結語
第Ⅲ部 サイチンガと東洋大学 
    サイチンガの履修科目とその成績/三木春雄教授の影響/結語
付録  サイチンガ年表/サイチンガ著作目録/参考文献
あとがき
都馬バイカル(リベラルアーツ学群)

吉野作造

タイトル:吉野作造
著者名:太田哲男著
出版:清水書院
ISBN:9784389421960
請求記号:289.1/Y92/O

 今からほぼ100年前、第一次世界大戦の時期に、吉野作造(1878〜1933)は「民本主義」の提唱者として登場した。米騒動や朝鮮の三・一独立運動、中国の五・四運動、ロシア革命が起こった時代の潮流をみつめ、精力的に執筆された吉野の諸論説は、時代の「臨床診断」ともいうべき性格をもち、世の注目をあびた。
 その診断は、国内の非立憲的な政治制度を果敢に批判し、「デモクラシー」運動に理論的根拠を提供し、また、中国・朝鮮の民族主義的な運動に共感を寄せるものでもあり、いずれも国際主義的・平和主義的な立場からなされ、光彩を放った。
 吉野は東大を退職し朝日新聞社に入社した1924年、「舌禍事件」によって退社を余儀なくされる。自由な言論活動が大きく制約される時代が近づいていた。
 本書は、吉野の社会民主主義的な側面に注目したところに特色がある。それとともに、吉野と交流のあった人びとをあわせて描き、晩年の明治文化研究まで、吉野の姿を浮き彫りにする。
 本書は、「人と思想」という新書本のシリーズものの一冊であり、吉野作造生誕140年を記念する評伝である。
 なお、この本は、『河北新報』10月14日付「読書」欄の「東北の本棚」で紹介された。
太田哲男(リベラルアーツ学群)

現代社会と福祉

タイトル:現代社会と福祉
著者名:川村 匡由, 佐橋 克彦, 島津淳, 西崎緑編著
出版:電気書院
ISBN:9784485304112
請求記号:369/Sa16

習近平が変えた中国

タイトル:習近平が変えた中国
著者名:天児慧編著, 茅原郁生 [ほか] 著
出版:小学館
ISBN:9784093886147
請求記号:302.22/A16

本書は、2018年5月26日付けの朝日新聞(18頁)で紹介された通り、元々は小学館のインターネット上の百科事典『日本大百科全書』(ニッポニカ)の現代中国に関する項目であった。小学館の編集部は、日本の中国研究の第一人者である早稲田大学の天児慧名誉教授に、新項目の執筆と執筆者の人選を依頼し、筆者を含む7人の執筆者による項目が完成した。これが好評を博したため、インターネットの百科事典から本が生まれる、という非常に珍しい展開になったのである。本書は三部構成で、第一部はイラストや写真を入れた「ビジュアル」、第二部が上記の項目から成る「視点・論点」、第三部は「小事典」になっている。
第二部を簡単に紹介すると、「習近平とは何者なのか」「中国共産党のメカニズム」「習近平の中国は『脅威』か」「『改革開放』の功罪」(以上、天児慧)、「なぜ『反腐敗』なのか」(菱田雅晴)、「習近平の軍事改革の行方」(茅原郁生)、「中国経済の成長は続くか」「『一帯一路』を読み解く」(以上、関志雄)、「国有企業改革の遠い道のり」(中兼和津次)、「中東化する新疆ウイグル自治区」「チベット問題の根源」(毛里和子)、「南シナ海問題を概観する」(佐藤考一)、となっており、中国をめぐって、誰もが関心を持つ分野が網羅されている。そして、「ビジュアル」、「小事典」を併用すれば、より理解が深まる。読み物と事典の機能を一つにした、読みやすい本であると思うので、学生の皆さんに一読を薦めたい。
佐藤考一(リベラルアーツ学群)

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