桜美林大学 国際協力専攻ホームページ



2008年度秋学期

リベラルアーツ学群2年 齊藤理恵

 私は、8月4日から8月29日までの約1ヶ月間国際学インターンにおいて「開発教育協会」で活動を行った。開発教育協会の紹介をするとともに、開発教育についても触れていきたいと思う。

1.はじめに
私はこの春休みに開発教育協会(DEAR)でインターンシップを行った。DEARでインターンシップをしたいと思った理由は、去年の夏に行った、桜美林大学のフィリピン国際協力研修までさかのぼる。3週間のフィリピン研修ではさまざまな人に出会い、そこに住む人から話を聞き、そこから貧困とは何か、また環境問題とどういった関連があるか、都市の貧困と地方の貧困など多くのことを学んだ。そんな研修の中、私は途上国と先進国の関わりについてとても興味を持った。先進国に住む私たちは途上国で何かボランティアをすることもできるかもしれないが、自分の国で途上国の人に対してできることがあるのではないか。彼らの生活が苦しいのは私たち先進国の人の生活に大きく関係しているからなのではないか。そんな疑問を持った時、開発教育という学問の存在を知り、さらに開発教育協会の存在を知ったことでこのインターンシップを行うことを決めた。
この授業を履修し、インターンを行う際に、開発教育とはどういうものなのかという基本的なことはもちろん、どういった人を開発教育の対象にしているのか、開発教育協会の具体的な活動の場はどこなのか、このNGOは活動を大きくしていくために何をしているのか、どうやって新しいワークショップを作るのか、資金はどこから来てどのように使っているか、またNGOで働くとはどういうことなのだろうなど多くの疑問を抱いて取り組んだ。
また、インターンシップ期間中に2年に一度行われている「教材体験フェスタ」というものに携わることができたので、そこでの経験も取り入れながらこのレポートを書いた。

2.組織説明
1) 開発教育とは
まず開発教育とは何なのだろうか。開発教育とは、共に生きることのできる公正な地球社会のための教育である。
もっと具体的に説明してみようと思う。私たちのこの便利な暮らしや、商業的利益や経済の効率性を求めてばかりいる社会の在り方は弱い立場の人々を生み、環境破壊にもつながっている。世界でおこっている貧困・飢餓、紛争・戦争、環境破壊、人権侵害といった問題は、 日本の社会のあり方や私たちのライフスタイルとも深く関係していて、日本にも同様の問題が存在している。文化・民族・宗教などを異にする世界の人々がともに生きることのできる公正な社会をつくっていくことが、 これからの大きな課題ではないのか、と考え、これらの課題に取り組んでいく教育活動が開発教育である。
開発教育では知識伝達の一方的な学習方法より、問題提起の参加型な学習方法をとっている。それは開発教育の狙いの一つに「参加」を促すことが含まれていることがある。参加型の授業にするために、開発教育ではワークショップが用いられる。ワークショップを使った参加型の授業で、自分の意見を発信したり、相手の意見を聞いたりすることで、自分がどういった考えを持っているのか見直すことができたり、相手の意見を尊重することを学ぶことができる。

2) 団体の正式名称
開発教育協会の正式名称は「特定非営利活動法人 開発教育協会/DEAR(Development Education Association & Resource Center)」であり、通称であるDEARという名でよく呼ばれている。

3) 目的
DEARの設立の目的は、「広く子どもたちや一般市民をはじめ、行政および各種団体等の関係者を対象として、地球社会が抱える開発・環境・人権・平和・文化などの人類共通の諸問題に関する教育活動の推進、およびそれら問題の解決に向けた国際協力や国際交流等の実践を図るため、開発教育などに関する政策提言、調査研究、情報提供、人材育成、普及推進、連絡調整等の事業を行い、もって共に生きることのできる公正な地球社会の実現という公益の増進に寄与すること(DEAR HPより)」である。

4) 役割
開発教育を研究している人には教師やNGO、自治体の職員などがいる。全国にいるそういった人々がそれぞれの地域で開発教育を進めやすくするため、活動しやすくするための環境づくりをすること、それがDEARの役割である。

5)設立の経緯
1979年11月に日本で初めての「開発教育シンポジウム」が東京で開催されたことが契機となり、開発教育の普及推進に関心を寄せる個人や団体が参集し、1982年12月に開発教育協議会を結成。2002年開発教育協会と改称した。(DEAR HPより)

5) 組織図
齊藤 理恵
図1)DEAR組織図

DEARの組織図は、図1のものである。私はインターンとしてDEARにいたので、左下のインターン・ボランティアという区分のところで働いた。一緒に仕事をしていたのはそのすぐ上の事務局のスタッフの方々だ。

6) 構成員
上記の図で会員総会のメンバーはDEARの正会員(ボランティア会員)で構成されていて、理事会、評議員会、企画推進委員会はボランティアで成り立っている。ここでは事務局の位置にいるDEARのスタッフのみが有給スタッフにあたる。その有給スタッフの中でも2人が常勤スタッフで、3人は非常勤スタッフである。
DEARはボランティアで成り立っている組織であって、会員が2009年3月の時点で団体、個人を含めて約750人いる。多くは教師やNGO、自治体の職員であり、そういった会員たちが自主的に集まってワークショップを作ったり、開発教育のための教材を作ったりしている。

7) 財政
DEARの大きな収入源としては@会員の会費A教材や出版物などの書籍B講師派遣、が挙げられる。これらの収入は人件費、事務所の賃借費、また教材の研究費、制作費などに使われている。
会員は会費を払う代わりに多くの権利や特典が得られている。DEARが発行する会報や研究誌が得られることは勿論、DEARが主催する集会や講座などへ優先的に参加できたりそういったものへの参加費や書籍などの割引購入が可能になったりする。本会員になると、総会における発言権や議決権も与えられている。
DEARが主催している集会への参加的な優先というのは、文章だけ読んでいるといまいち理解しがたかったが、インターン中にあった教材体験フェスタの準備をしていたとき、人数的に難しかったワークショップに「会員だから」という理由で参加を優先させたことが何度かあった。会員だから得られる特典をこの時にはっきりと理解できた。

8) 事業内容
DEARには「運動(ムーブメント)系事業」、「研究(リサーチ)系事業」、「創造(クリエイティブ)系事業」の3つに活動を大きく分けている。
1つめの運動系事業では開発教育を「ひろげ・ささえる」ことを目的としており、政策提言、国内ネットワーク事業、海外ネットワーク事業、広報・募金活動などを行っている。
2つめの研究系事業では、開発教育を「かんがえ・ふかめる」ために、各種研究会活動、また研究誌である『開発教育』の編集と発行、毎年夏に行われる「開発教育全国研究集会」の開催などを行っている。
3つめの創造系事業の中では開発教育を「つくり・つたえる」ための活動を行っており、情報・メディア事業(開発教育のウェブサイトの管理運営、会報『DEARニュース』の編集発行、開発教育メーリングリストの管理運営、開発教育メールマガジンの発行など)、開発教育の図書資料や教材の製作・販売などの出版・制作事業、研修・講座事業で講師派遣や各種講座・セミナーの開催などの事業が挙げられている。
また8)で述べたように、DEARはボランティアにより成り立っている組織である。ボランティアが企画・運営する事業として、@開発教育を進めるための教材を作るAファシリテーター(参加型学習をする際、そのワークショップをスムーズに進めるための進行役)を育てる研修会を行うために講師を派遣するB開発教育の研究を進めるCDEAR主催のセミナーに講師として参加する、などが挙げられる。

3.DEARの事業の中での国際協力に関わる事業紹介
上記でも紹介したとおり、DEARは開発教育を推進するためのNGOである。開発教育自体が私たち先進国と様々な問題を抱える国との関係性を知り、それについて考え、行動するというもので、講師派遣などを通して、子どもたちや大人などにそういったことを伝えることは国際協力に関わる一番近い事業だと私は考える。講師の派遣先はNGO・NPO、大学などの教育組織、教育団体などがある。
そしてその講師たちが作るワークショップや出版物、教材も、開発教育のワークショップを住スムーズに進めるものとなるので、国際協力に関わる事業に含まれると思う。

4. DEARに関わる課題
インターンシップをしている際、一番大きいと思った課題はやはり収入だと思った。教材体験フェスタの1日目の夜にあった交流会でも、事務局長の締めの言葉でも「会員でない方は是非会員になってください。」というフレーズが入っていた。私がインターンシップに行った時期が年度末だったことや、教材フェスタという書籍を多く売ることのできるイベントがあったことなどもあり、収入に対する課題は一番気になった。
また、人員不足という課題もあるように思える。今回のインターンが大きなイベントの前だったから、というのもあるかもしれないが、準備のときに事務局がとても忙しいという印象を受けた。それに対して当日のフェスタでは、当日のみのボランティアが多く参加しており、準備片付けはとてもスムーズに進んでいた。事務局のスタッフの方々も最後の締めの時にそういった話をしていたので、もっと定期的なボランティアがちょうど良い具合に増えれば、事務局での仕事ももっとスムーズになるのではないかと思う。

5. 課題への対応
こういった大きなイベントの中で、会員になるとイベントへの参加費が安くなることや、会員であるとDEARの書籍が会員価格で購入できるということなどをアピールしていたのは、収入の面での課題への対応だと思う。言い換えると、会員を増やすことが収入とを得る、いう課題への一番の対応策であると思う。
人員の点は、大きなイベントなどのボランティアの経験を通して、そういった人を事務局側が定期的なボランティアに誘うことができると思う。

6. 自分が特に興味を持って調べた内容
開発教育とはどういうものなのかということは、インターンを通して学ぶことは難しかったが、教材体験フェスタで講師としてきていたボランティア会員の方々、一緒に当日のボランティアをしたボランティアの方々、事務局の方々と空いている時間に話すことで開発教育とはどういう目的があるのか、どういった方法で教えるのがよいのか、ということを聞く機会が多かった。
開発教育の対象者が誰かという疑問に対しては絞るのが難しいが、DEARは主に教師を対象に活動を行っていると感じた。DEARのイベントや事業を通して教師たちが開発教育を知り、開発教育的な考え方や教え方を実施することで、その授業やワークショップを受けた生徒たちがもっと世界的な観点で物事を見ることができるようになる。そういった流れがあるのではないかと思う。
そういったことを考えると、DEARの具体的な活動の場は、学校というよりももっと見えないところであって、学校の先生たちを相手できるような場所である、と思う。

7. 反省点
このインターンシップを始めるときに、開発教育についてもっと知りたいという意識が高い状態で始めた。しかし、先生たちに「的を絞ってインターンに取り組んだ方がいい」という助言の通り、的を絞ることができなかったので、特に興味を持って調べることがとても難しかった。またDEARの活動がとても知りたいというより、開発教育について知りたいということの方が強かったので、DEARの細かい活動について十分に理解しないままインターンシップを行った。よって事務の仕事をしている際も分からないイベントの名前などがあると苦労した。

8. 今後インターン実習をする上での提言
DEARがネットワークNGOだからかもしれないが、NGO同士は思ったよりも関係が強いことがわかった。だから今後NGOなどの国際協力関連の場所でインターンをする際には、もっとその分野に関して勉強するのはもちろん、そのNGOと関わりのある他のNGOについても少し学んでいくと、もっと充実したものになるだろうと思う。

9.全体を通しての感想
DEARでのインターンを通して、もっと開発教育について知りたいと強く思うようになった。教材体験フェスタで国際協力や教育の現場で働いている人と多く出会い、その人たちの話を聞くことで、開発教育をするには本当に多くの方面での知識や経験が必要なのだと感じた。また私はこのインターンシップを短期で行ったのだが、インターンとしてかボランティアとしてかは分からないが、もっと長期的に一つのNGOに携わっていきたいと思った。きっと国際協力の現場でも同じだと思うが、一時的な支援や関わりだけでは上辺のものしか見えてこない。もっと「持続的な」関わりを持っていかないと見えないことはたくさんある、と心から感じた。だから、この国際学インターンでのインターンシップが終わっても、DEARとは関わっていきたいと思う。
最後になってしまったが、このインターンシップでDEATの事務局の方々には本当にお世話になった。わからないことが多い私に親切にしてくださったり、分からないことがあると丁寧に説明してくださったりで、とてもよい環境でインターンシップを行うことができた。こんなに充実したインターンシップを行えたのは彼らの支えや助けが合ったからだと思う。DEARの事務局の方々、一人一人に心から感謝したい。。