桜美林大学 国際協力専攻ホームページ



2008年春学期

松川 紫乃

<インターン先>
1.団体名
特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所(ISEP)
2.インターン先概要
環境エネルギー政策研究所(以下ISEP)は、 持続可能なエネルギー政策の実現を目指して政府に対する政策提言や国際会議への参加、シンポジウムやセミナーの開催、また自治体へのアドバイスなどを行っているNPO法人である。

<実習期間>
7月25日〜8月7日(内10日間)

<実習内容>
ISEPの業務のうち、地方自治体における環境政策へのアドバイスや取り組みの報告に関する事務作業や、電話・インターホン対応などの基礎業務を行った。その他にインタビューやヒアリングの傍聴やミーティングへの参加など、ISEPの内容を知ることのできる場にも同席させていただいた。具体的な内容は以下である。
・wardやexcelを使った資料作り
・ ISEP関連資料の読み込み、意見出し
・ ISEP主催であるセミナーの手伝い
・ 定例ミーティングへの参加
・ インタビュー、ヒアリングなどの傍聴
・ アンケート集計
・ シンポジウムの議事録作成
・ 電話対応、来客の出迎え

<研究内容>
1.テーマ
NPOと地方自治体の関わりを研究する。

2.内容
ISEPは地方自治体が行う環境政策のプロジェクトに協力している。しかし、NPOにはどのようなことができるのか。また、それに至るまでの経緯やその結果はどのようになっているのかをインターンを行う中で学び、研究する。

3.疑問点と回答(話してくださった方:インターン担当者 山下紀明さん他)
※(→)マークは研究をする中で新たに疑問が生じたもの。

  @スタッフ
・ 常任スタッフは何人か?
−ISEP専任は5人程度。その他同じオフィス内で行っている企業と兼業のような形で働いている人が数人。インターンが20人程度。
・ どのような経緯でISEPスタッフになったのか?
−直接回答を聞くことはなかったが、スタッフの一人は研究インターン生としてISEPに関わった後、常任のスタッフとなった。
・ スタッフの募集はしているか?
−特にしていない。スタッフになることがあるとすれば、インターンをした後適しているとされた人。
→・ISEPは拡大するべきであると考えるか?
−今の規模のままでいい。所長の目が届く範囲の人数で、所長の考えに則して運営して行くべき。

 A運営
・ 1つのプロジェクトには何人ほど従事するのか?
−直接は聞いていないが、1人で行うものからあるようだった。主に所長の飯田さんが全体のプロジェクトに指示を出した上で実施される。1人でいくつものプロジェクトを抱えていた。
・ 企画の話し合いはどのような流れで進めるか?
−私が見ていた中では、ISEP内部だけで行う企画は会議で話が挙げられその場で担当者が決められた。その担当者同士が互いのスケジュールを調整して何度かの会議を行っていた。外部とも関わりを持つ企画では、まず全体のスケジュールを決めた後内部会議で内容が詰められ、外部へ企画を起こすようであった。
・ スタッフが全員集まることはあるか?
−週に1回、定例ミーティングが行われている。そこで所長を中心に重要なプロジェクトの進み具合や新たに始まるプロジェクトのスケジュールなどの共通認識が行われている。

 B資金
・ 会員向けの会はあるか?
−株式会社でいう株主総会のようなものが会員向けにあるとしていたが、詳しくは聞いていない。
・ 年間の支出はいくらか?
−2000万円程度(労働費も含む)。収入も2000万円程度なのでギリギリ黒字というところ。
・ イベントを開催して収益はあるのか?
−私がお手伝いをさせていただいたセミナーでは、会員以外の人から2000円の参加費を受け取っていたが、施設代や講演者の講演料などと合わせるとマイナスになると感じた。講演料などは、人によっては1000万円近くに及ぶ人もいると言っていた。

C自治体との共同に至る経緯
・ 声をかけるのはISEPか自治体か?
−自治体がISEPにアドバイスや授業を依頼する。
・ なぜ自治体と組もうと考えたのか?
−直接は聞いていないが私としては、ISEPは自然エネルギー100%を越えるサムソ島をはじめとするような小さな範囲からの自然エネルギーの拡大や、ローカルな力に重点を置いているように感じた。

D自治体との関わり方
・ どのようなプロジェクトに関わっているのか?
−直接自治体の行うプロジェクトに関わるのではなく、政策を作るうえでのアドバイスや政策への評価を行っている。また、取り組みの報告をする場も作っていた。
・ いくつの自治体と組んでいるのか?
−具体的な数字は聞けなかったが、少なくとも環境モデル都市に選ばれた横浜市と北九州市、その他に川崎市と飯田市も話には聞いた。インターン中にも福井県議会への講義依頼が入っていたように、徐々に増えていっているように思えた。
・ 地域に住む人とは関わっているのか?
−住民も参加者に含めた政策の内容を話すシンポジウムなどは行っているが、直接住民と関わるということはないのではないかと思う。

 E自治体、市民の反応
・ 政策プロジェクトは成功しているか?
−ISEPが携わっている自治体は、どれもそれぞれの地域の特徴を生かした政策を行っている。環境モデル都市にも選ばれるなどの結果を残しているという点からも、政策は成功していると言っていいと考える。しかし住民への政策の浸透具合を考えると、まだ足りないように感じる。

<研究結果>
環境問題が大きく取り上げられるようになった現在では、地方自治体ごとに政策が求められるようになった。しかし政策を行っている自治体でもそれがうまく稼動していない自治体や、あまり正しくない方向に政策を組んでいる自治体もあるだろう。ISEPは新たに政策を作るうえで、今まで行われてきた政策を評価し、その自治体ごとに合った政策をたとえば建築や都市環境の専門家を交えて、自治体にアドバイスをしていくということがわかった。ISEPの、国を超えた政策研究が日本の自治体の政策を成功へと導いているように感じた。NPO法人という点ではやはり資金面に厳しい点があるようだが、一方で企業ならではの縛りはなく団体の理念に基づいて活動を広げていけるように思う。
また、私の中でなぜこんなにもインターンの受け入れをたくさん行なっているのかという疑問があった。実際にインターンを行なう中でインターンシップ担当の方は、「インターン生には、所長のインタビューやシンポジウムなどのたくさんの場に同席してもらいたい。」とおっしゃっていた。それはISEPや環境問題や政策について、広い範囲の市民や政府だけでなく、この活動に関心があるインターン生に知ってほしいからなのではないかと私は感じた。担当の方から直接話を伺うと、それだけでなくISEPでのインターンからのつながりが大切だとおっしゃっていた。ISEPでかつてインターンを行なった人の中には、それをきっかけにヨーロッパの大学に留学に行った人や、その後日本で風力関係の仕事に就いた人などがいるそうだ。自然エネルギーの普及を目指すISEPでは、インターンからの輪の広がりも重要な役割の一環なのだと感じた。

<感想>
学習目標の達成度としては、正直なところ70%程度だと思います。それは、ISEPができる自治体との関わりは学ぶことができたけれど、NPOだからこそできることという点ではほとんど調べることができなかったからです。
ですが私にとってこの2週間は勉強になる貴重な時間でした。サムソ島、飯田市、横浜市のシンポジウムから始まり、北九州市の議事録もやらせていただきました。自治体がこんなにもたくさんの取組みをしているとも知らなかったし、それに対していろいろな先生方がアドバイスをしたり指摘をしていく中から課題が見えてきたりするのがとても面白かったです。
私は地方自治体の活動に元々興味がありましたが、どのようなことをしているのかほとんど知らなかったし、市役所区役所にばかり目が行っていて、市議会という存在についてはほとんど考えたこともなかったと気づけました。そしてやはり、市民の存在が大きいのだと感じました。行政だけが一人歩きしても市民の立場に立てておらず、うまくいかない可能性もあるだろうし、市民が求めるものと行政や企業が求めるものを、共に主張しながらいかなければならないのではないかと思います。
そして、ISEPでインターンシップを行っている間、毎日環境の話詰めになり周りにも自然エネルギーのことを考えている人ばかりがいるが私にとってはとても新鮮でした。
また、今まで知らなかったことや見てこなかったこと、たとえば新しいエネルギーであったり欧州のような国のエネルギーの状況であったりといったことに触れることで、余計に環境問題に興味が出て、もっともっと知りたいと思うようになりました。
ISEPで働いている方々とお話をすると、知らない話がたくさんでてくるので自分でもより深く勉強をして、ISEPにいる皆さんと対等に話が出来るくらいになりたいと感じました。