桜美林大学 国際協力専攻ホームページ



2008年度 秋学期

堀越 葵

1.財団法人 かながわ国際交流財団とは
 1977年(昭和52年)に設立以来、市民レベルの国際交流・協力活動を支援する中核組織として、地球市民意識の高揚と多文化共生の地域社会作りを進めた財団法人神奈川県国際交流協会と、1992年(平成4年)以来、湘南国際村を活動拠点に、人文・社会科学分野を中心に地域と世界に共通する課題に関する研究、人材育成、学術・文化交流事業を展開した、財団法人かながわ学術研究交流財団が2007年4月に統合して発足した。
 核となっている4つの理念があり、一つ目は県民の国際交流・協力活動を情報、ノウハウ、資金面から支援、二つ目に、地球市民意識の高揚と、多文化共生社会の実現を目指し、三つ目に、次代を担う青少年を中心に、世界で活躍できる国際人材の育成をすること、そして四つ目に、学術・文化交流を通じ、地球規模の課題の解決に向けた地域からの提案を、県民をはじめ国内外に発信するといったことが取り組まれている。
 近年のグローバル化やボーダレス化に伴い、国と国、地域と地域、人と人の相互依存が深まっていっている。その中で、平和・環境・貧困・人権などの地球規模課題の解決に向けて、地球に暮らす一員として、日々の生活の中で考え、自分にできる身近なことから行動を起こしていく、『地球市民』の育成を行っている。

地球市民とは?
地球規模課題の解決に向けて、地球に暮らす一員として日々の生活の中で考え、行動していく人々のこと。
代表者
理事長 福原 義春 (2007(平成19)年4月1日現在)
基本財産等
(2008(平成20)年4月1日現在)基本財産額 675,640千円
(2008(平成20)年4月1日現在)基本財産額 675,640千円 
0千円 [24.4%])
組織
組織は上から順に、会長−理事長−専務理事−常務理事−事務局長と続き、神奈川県立地球市民かながわプラザ(通称:あーすぷらざ)内にある、総務部、国際協力事業部、プラザ事業部や、湘南国際村学術研究センターの4つの部署を取りまとめている。

2.事業紹介(プラザ事業部)
 あーすぷらざは、こどもの豊かな感性の育成、地球市民意識の醸成、国際活動の支援の3つを目的とする施設である。5Fには常設展示室があり、世界の人々の暮らしや文化を肌で感じることができるこどもの国際理解展示室、過去の戦争や地球規模課題を知り、平和な国際社会をめざしていこうという国際平和展示室、こどもたちの五感をくすぐるような仕掛けがいっぱいの、こどもファンタジー展示室がある。2Fの情報フォーラムでは「国際理解」「環境」「人権」「平和」「情報」に関わる教材の貸出し、外国人住人向けの多言語による生活資料をはじめとする、国際交流・国際協力関連のさまざまな資料が閲覧できる。その隣の映像ライブラリーでは、「国際理解」、「地球規模の課題」、「国際協力活動」をテーマとした図書の貸出しやビデオの視聴サービスを行っており、神奈川県に在住、在勤、在学をしていれば誰でも利用できる。
 今回、私がインターンシップさせていただいたのは、あーすぷらざ内にある「学習サービス課」という部署であった。この課は、あーすぷらざにおいての"入り口"としての役割を担っており、イベントや校外学習などを通じて国際交流・国際協力・地球規模課題に興味を持ってもらえるようなきっかけを提供している。私がやりたいと思っていることはまさにそれであるため、今後の参考になることがたくさんあった。


3.事業概要

  1. 学習センター事業
    • *交流交歓学習事業…多文化共生や異文化理解のために、月ごとに特定の地域を選びそれん関連したイベントを開催したり、講師を招いて地球規模課題の解決には何をしていくべきなのかを一緒に考える取り組み。
    • *展示学習事業…こどもたちが展示室の探検をし、それぞれの発見・感じたことを発表するといったアクティビティ、留学生をはじめとした各国・地域出身の講師が出身国・地域の生活や文化を紹介したり、地球市民意識の基礎である豊かな感性を育てるため、幼児を対象とした絵本の読み聞かせや音楽に合わせた体操などを行っている。
    • *校外学習受入事業…次代をになうこどもたちに世界の多様性や地球規模課題を学んでもらうため、校外学習の場としても施設を提供している。
    • *展示運営ボランティア運営…展示の特性をいかすため、広く募集したボランティアスタッフによる常設展示室の運営、常設展示室の内容をより理解してもらうための企画展示の実施。
    • *映像ホール事業…国際交流、国際理解、多文化共生などに関する映画の上映、校外学習においての学習ニーズに沿った作品の上映、長期休暇の期間中に国際理解を深めるための、こどもを対象とした映像の上映。
    • *ビエンナーレ国際児童画展開催…国際理解と国際文化交流の推進を図るため、絵画を通じてこどもたちの夢と想像力を育もうとする取り組み。ビエンナーレとは"1年おきの"という意味。
    • *アウトリーチ事業…あーすぷらざに来館することが難しい小中学校に出向き、民族楽器を使ったワークショップや国際理解を深めるプログラムを実施する「あーすキャラバン隊」の派遣、「多文化共生」について考えるスタディーツアーなどを行っている。
    • *インターンシップ事業…大学生にはプラザ事業を理解し、学んだ専攻を活かしたり職業体験の場として活かしてもらうため、高校生には職業体験の機会を提供するために受入を行っている。
  2. 情報相談センター事業
    • *情報フォーラム事業…NGOのニュースレターや雑誌等の情報収集と提供、外国籍県民と支援者をサポートするための情報提供や情報発信、県内外のNGOが発行しているニュースレターなどの資料をまとめ、県民のNGO活動のサポートを行っている。
    • *映像ライブラリー事業…図書や視聴覚によって、国際活動に関心を持つ人々への情報提供。
    • *広報情報発信事業…ホームページをはじめとする様々な広報媒体を使って、あーすぷらざの施設やイベントの広報、催しの広報のためのかべ新聞やメールマガジンの発行。
  3. サポートネットワーク事業
    • *市民団体活動支援事業…NGO等からの共催事業を公募し、決定した場合には広報・会場の提供、また事業企画のノウハウを提供するなどして、NGOの人材育成や組織マネージメント能力の向上のサポート、打ち合わせや作業に利用できる場所・機材の提供などを行っている。
    • *外国籍県民支援者サポート事業…神奈川県の外国籍県民相談システムやNGO(教育分野)と連携し、外国籍県民を対象とした教育相談事業。また、そこからの情報や経験をもとにしてNGOと連携しながら、県内の外国籍県民の相談対応ができる人材を育成するためのセミナーを開催している。

4.インターンシップを通して

4-a.目標
私はインターンシップでの目標として、
(1)国内からでも行える国際協力にはどんなものがあるのかを知りたい。
(2)「地球市民」として、どのようなことをしていくべきか。また、どのようなことができるのか。
(3)職員の方々だけでなく、ボランティアスタッフの方々となるべく積極的に交流をはかり、お話を伺いたい。
(4)さまざまな考えに触れたり、体験したりすることによって、新しい見方や考え方ができるようになりたい。
(5)受入れ先には自習できる環境もあるので、興味を持ったことなどがあったら資料を積極的に活用していきたい。
と、この5つを挙げていた。これらを念頭におきながら、振り返ってみることにする。

4-b.業務内容
 私の主な業務は企画展関係作業(準備、作成等)、校外学習ワークショップ対応・企画補助、キャラバン隊への参加だった。
まずこの企画展についてだが、これは地球家族シリーズ『地球の食卓』(TOTO出版/2006年)という写真集を用いて行われた日本で初めての写真展である。24ヵ国30家族の一週間の食費や食料の内訳、食卓や生活風景、世界の屋台・肉・台所の特集があり、「食」を通して見えるグローバル化や豊かな国と貧しい国の食料の格差が現れている。職員さんによると、通常の写真展はすでにレイアウトや飾る枚数・種類もすべて決められており、設置は業者が行うそうだ。しかし今回行われたものは日本初であるため、写真選びからキャプションの作成、レイアウト、設置まですべての工程が職員、ボランティアスタッフ、アルバイトの方たちとの協力によって作り上げられたものなのである。
 開催までの間、私は30家族の一週間分の食料の内訳をひたすらパソコンで打ち込む作業が主だった。その合間や開催が始まってからは、ポスターの作成をさせていただいたり、ブラックボードにイベント案内を書かせていただいたりした。そこでは、自分の感性だけでなく、お客さんから見た時どのようにしたら見やすく、目を引くものになるかということも考慮しなけらばならない、というアドバイスをいただいた。そのほかにも食に関わるイベントがあったため、設置やレイアウトの補助をさせていただいた。
 校外学習では、小学2年生を対象とした「モンゴルの草原の人々の暮らしを知ろう!」という、モンゴルの馬頭琴という楽器や民族衣装を用いたワークショップの補助、常設展示室に見学へ来た幼稚園児や小学生の学習の補助をさせていただいた。こどもたちが疑問に感じて質問してきたことの中には、私とは違う視点から見たものがあったりして、逆に学ばされることもあった。あーすキャラバン隊で訪問した小学校では、校外学習と同じ内容だったのだが、そこでは民族衣装を紹介するパートを担当させていただいた。初めての経験で緊張しつつも、職員さんのサポートによってなんとか1日3コマをやり遂げた。普段、小学生や幼稚園児と関わる機会はないため、新鮮であったし、貴重な経験ができたように思う。
 のほかには、朝夕の常設展示室の点検、セミナーの受付をさせていただいた。

4-c.感想
 インターンシップは初めての経験だったので、始まる前と初日はとても緊張していたのだが、周りの職員さんがみんな優しく接してくださったので思ったよりも早く場の雰囲気に慣れることができた。また、学習サービス課は若い方が多かったのでそれも大きかったと思う。はじめの何日かは仕事に慣れることに精一杯で、あまり周りを見ることができず、指示を出されるまで動けなかったり、校外学習ではただ立っているだけで、小学生たちに話しかけることができなかった。思っていたよりも自分で考えて行動しなければいけない場面が多かったり、わからないことがあったとき、どの程度まで聞いていいのかに悩んだりもした。しかし、振り返りの時間を設けていただいていたので、その時間に困ったことや確認したいことを質問でき、職員さんをはじめ、ボランティアスタッフの方がたがアドバイスをくださったので、だんだんと要領をつかんでいくことができた。
 今回の企画展に関しては、職員さん自身も初めての経験ばかりで慌しかったり、一緒に悩む場面も多々あったりと、ひとつのものを作り上げていく過程に参加させていただくことで、私自身も同じ苦労や達成感を味わうことができた。休憩時間ではボランティアスタッフさんとアルバイトの方と企画展のテーマである"食"に関するお話をさせていただいた。昔のトマトは青くさいのが普通であったのに、現在売られているものはにおいや見た目にこだわりすぎていて、味も昔に比べたらほとんどないそうだ。また、現代の人々のほとんどは「命」をいただいているという意識が薄く、"いただきます"の本当の意味を知らない人も多いのではないだろうか、といったことも感じさせられた。食べることは私たちの生活の中では当たり前のことすぎて、人間のために命が犠牲になっている生き物の存在だったり、食べ物としてスーパーマーケットに売り出されるまでの過程だったり、昔の良さが失われていたりすることが、見過されていることに気づかされた。
 そして、貧しい国では食料が不足していて、一日にきちんと食べられるかも分からない国もあれば、裕福な国では余ったからといって捨てていたり、食べ過ぎによる肥満者が増えていたりしている。このように"食"ひとつをとっても世界の様々な現状を知ることができるなんて考えたこともなかった。
 それから、私は今まで戦争については「すでに終わっていることだ」と特に興味を持ったことがなかった。しかし、現代においても未だ紛争が絶えない地域があり、過去の戦争での出来事を知っておくことは、これから平和な未来を構築していこうとする際には必要なことなのではないかと、国際平和展示室を通して感じさせられた。
 あーすキャラバン隊では、こどもたちが騒いでしまったときにどのようにして注意を引きつければよいのか、クラスごとに反応や聞く姿勢もちがうため、回を追うごとに工夫が必要とされた。また、抑揚をつけながら話し、単調になってしまわないようにするのが難しく、回ごとに試行錯誤していたように思う。聞き手のことも考えて行わなければ、話し手の意図が伝わりづらくなるのだということを学んだ。ここでの経験は、これからプレゼンテーションをする機会があったときに参考にできるものではないかと感じた。
 2週間という期間は本当にあっという間だったが、その中でさまざまな経験をさせていただき、幅広い年齢層の人々との交流、施設を通して、今まで目を向けてこなかったに興味を持つようになった。あたりまえに送ってきた生活の中にも世界とのつながりが見えてきたり、見直すべき点があることを気づかされたりと、確実に実習前よりも視野が広がり、新たな見方ができるようになったとも思う。
 私たちが「地球市民」としてできること・すべきことというのは、明確な答えがあるものではないような気がした。それぞれの人がそれぞれのテーマや方法、手段を通したアプローチの仕方があり、何通りにもわたると考えるからだ。そして、「国内からおこなえる国際協力」というものも大きなことから小さなことまで多岐にわたっていて、限りがないと感じる。

5.今後のインターンシップにおいて
 初めてのインターンシップということもあったが、全体的に受身の姿勢で取り組んでいたように思う。自習ができるスペースもうまく活用することができなかった。周りの方がたにももう少し多くお話を伺ってみればよかったような気もしている。次にインターンシップをする際には、失敗することを怖がらずにもっと積極的に行動していきたい。インターン先や業務内容にもよるかもしれないが、自分の意見を求められる場面もあるかと思うので、まちがっているかどうかは気にせずに発言していき、それと同時に周りの意見もしっかりと聞くことが大事ではないだろうか。互いの意見を交換し合うことで、新しい見方ができるようになったりと、いい刺激を与え合うことになるだろうと考えるからだ。
 また、周りの状況をよく観察し、その時々に応じた行動をとることは普段の生活だけでなく社会に出たときにも必要な能力であるということを、今回の経験を通して学ぶことができた。ここで学んだことを今後のインターンシップだけでなく、これからの大学生活や私生活で活かしていきたい。そして、毎日が社会勉強であるという意識を持って、何事にも臆せず取り組んでいく姿勢を心がけていこうと強く感じた。