桜美林大学 国際協力専攻ホームページ



2006年度 春学期

吉川いずみ(2年)

<研修期間>

2006年8月1日〜8月31日

<研修内容>

 私は今回研修テーマを「ノンフォーマル教育のひとつとしての図書館活動の位置づけ、また図書館活動が子どもに与える影響について」とした。出来るだけ多く子どもたちと実際に触れ合い、その中で何かを感じ、学んでいきたいと考えていた私は、研修の多くの時間を事務所に併設されている子ども図書館で過ごした。

 また毎週火曜日には、SVAの行っている移動図書館に同行させてもらい、両親と一緒に暮らせない子どもたちの暮らす、「SOS Children’s house 」、麻薬中毒者のためのリハビリテーションセンターへも行き、関係者の方たちにインタビューを行った。また、毎週土曜日に行っているタートルアンへの移動図書館にも参加させてもらった。

 図書館活動と一口で言っても、行う場所が違えば、相手も違い、内容が違うのはもちろんのこと、図書館活動の意味合いも違ってくる。同じ子どもと言えども、毎日自由に通ってくることの出来るSVAの子どもたちと、SOSの子どものように週に1回しか本を読み、アクティヴィティーを行う機会がない子どもたちとでは、こちらへの接し方や、反応も違い、そんな中でも図書館活動を行う重要性を感じた。麻薬中毒者のためのリハビリテーションセンターでは相手は青年から大人までなのだが、本がまだまだ一般的に普及していないラオスでは、大人も本を読む機会が少ない。そのため、年齢に関係なく喜んで本を読んでいる姿はそれだけで本や図書館の重要性を学んだ気がした。

 私は図書館活動のようなノンフォーマルな部分の教育は、子どもたちのメンタルな部分に影響するのが大きく、位置づけも心の教育としてなのではないか、と予想していたのだが、それは少し違った。もちろん本を読み自分自身でいろいろなことを考え、想像するなどして、メンタルな部分に影響しているのには確かなのであるが、図書館活動はそれ以上に子どもたちに、様々な面においてきっかけを与えている役割があるのではないかと思う。日本では当たり前のように授業のカリキュラムになっている、図工や音楽、また毎年行われる学芸会や音楽会、などはラオスでは行われていない。図工や音楽などは今の小学校では少しずつ授業の中に組み込まれてきているということであるが、全ての学校で行われているわけではなく十分とは言えない。SVAヴィエンチャン事務所は、ラオスの中でも比較的裕福な首都ヴィエンチャンにあり、SVAの子ども図書館に通ってくる子どもたちも、生活に余裕があるから通ってこられる子が多い。しかし、だからと言って本を読む機会が、多くあるわけではなく、また情報も限られたものしか入ってこない。そのような中で図書館活動は、子どもたちに自分を表現する場を与え、その中で才能を見つけたり、将来なりたいものを見つける子どももいた。また本などを通してそれまでは知らなかったことや、新しい世界を知ることが出来、それは子どもの可能性を広げることになるのではないかと思う。このように、情報が限られているラオスでは図書館活動というのは何よりも子どもにきっかけを与える役割をしている、というのが私の感じたことだ。というよりも、ノンフォーマルな部分の教育というのは本来そのような形であるべきなのではないかとも思った。日本では十分すぎると言うほど、フォーマルな教育もノンフォーマルな教育もあるが、それでも子どもに関して多くの問題があり、心の教育が問われるのは、まずその教育の行い方に問題があるのだと思う。日本ではきっかけを与えるだけではなく、その先のことも与えてしまっていて、それに子どもたちが乗っているだけで、自分で想像し、考えるということを奪ってしまっているのではないか、ということも感じた。

 また、研修中には他にも出張に同行させていただくことができた。私の研修テーマとは直接的な関係はなかったものの、ラオスという国を知るうえでは大変貴重な体験だった。ヴィエンチャンでは見ることの出来ない、ラオスの貧しい部分や、教育の問題、学校建設の問題などを学ぶことが出来た。また同時にNGOの仕事の面についても多くのことを学び、感じることができた。

 そして、研修の最後にはSVAの行っている青少年事業のユースボランティアのホームステイにも参加させてもらうことができた。ヴィエンチャンの中にある村に行き、図書館活動を行い、ホームステイをするのだが、ここではまた新しいことを学ぶことが出来た。ヴイエンチャンと言っても、全ての場所が都会なわけではなく、その村も町の中心から2時間も行かないところにあるのに、全く違う場所であった。これが首都の中であるというのが信じられないくらいで、もちろん本を読む機会などはなく、大人でも本に触れたこともない、という人々が多くいるということだった。

 どうしても地方に目が向いてしまう支援であるが、ヴィエンチャン内といえども、まだこのような場所があり、支援が必要であることを十分すぎるほど感じることが出来たと思う。

<感想>

 1ヶ月という短い期間であったが、ラオスでの滞在中は毎日何かを感じ、新しい多くのことを学ぶことが出来た。しかし、その中で事前準備が足りなかったことも痛感している。ラオスに関しての知識ももっと日本にいるうちに学んでおくべきことであったし、また研修テーマに関しても、あまりにも準備が足りていなかったように感じている。事前の準備がもっとされていれば、研修中により多くのことを学べたと思うと、悔やんで仕方がない。そのように反省すべき点は山のようにあるけれども、本当に貴重な体験ができたと思う。今まで本を読むなどしてしか知ることの出来なかった途上国の現状は、どこかで自分のイメージになっていたし、また国際協力という点においても、理想の中でのものであったように思う。しかし、実際に自分の目で見ることにより、途上国に対するイメージも、また国際協力、援助のあり方についても自分自身で考えることが出来た。

 そしてラオスのゆったりと穏やかに流れる時間の中で、指標で計ることの出来ない人々の優しさや、心の豊かさを何よりも感じた。ラオスで過ごす中で日本が失ってしまった多くの大切なものを感じ、発展のあり方も考えさせられた。日本は経済発展を遂げ、先進国となったが、果たしてそれが全てで幸せなのか、そんなことを疑問に感じた1ヶ月でもあった。