桜美林大学 国際協力専攻ホームページ



2006年度 春学期

横井佐奈(2年)

<団体概要>

シャンティ国際ボランティア会(SVA)は1980年に設立し、カンボジア難民支援として図書館活動を開始した。それ以来26年、「共に生き、共に学ぶ」をモットーとし、教育と文化の分野において支援を続けている。タイ、カンボジア、ラオス、アフガニスタンに事務所を置き活動している。プノンペン事務所では、移動図書館や教員養成を含む図書館事業、学校建設事業、文化事業とスラム支援の4つの分野において活動している。

<実習期間>

2006年 8月21日〜9月15日

<実習内容>

@     絵本の翻訳。

図書館事業の活動の一つである絵本製作に関わった。私は、日本の絵本を英語に翻訳する作業を行った。英訳したものが、その後クメール語に訳されて絵本なり、子どもたちの手に届くことになる。絵本は「おむすびころりん」や「さるかに合戦」などの昔話や童話など、様々なジャンルの絵本を翻訳した。

A     資料の翻訳。

学校建設事業の、日本からドナーが訪問してきた際に提供する、活動内容や学校の概要などの英語の資料を和訳する作業を行った。また日本でのドナーへ向けた資料作りにも携わった。その他に、SVAの概要が述べてある日本語のパンフレットを英語に翻訳する作業も行ったが、残念ながらこれは時間が足りず仕上げることができなかった。

B     SVA活動地へのスタッフ同行

8月22日〜23日は学校建設事業の活動地であるコンポントム州へスタッフに同行し、学校建設の過程である住民との契約などを見学させてもらった。8月26日はスラム支援の見学として、スラムやその移転地を見学させてもらった。9月11日〜15日は、図書館事業の活動地であるバンテミンチェイ州へスタッフに同行した。教員養成研修の見学と、移動図書活動や図書館を訪問した。

C     NGO訪問

私の個人としての研究は、「ノンフォーマル教育」と「教育に対しての住民参加」をテーマとして調査を行った。SVAではフォーマル教育の方に力を入れているため、ノンフォーマル教育活動をしている他のNGOを積極的に訪問した。日本のNGO、海外のNGO、カンボジアのNGOと、異なる立場から支援をしている7団体をそれぞれ訪問した。

SVAのそれぞれの事業の活動を見ることができたのは貴重な経験だった。学校建設事業に同行して学んだことは、学校建設において重視していることは「住民参加」であるということ。自分たちのコミュニティーの中に学校を造るには自分たちも建設作業に参加し、積極的に支援側とも協力を行っていく。住民は主に土盛りやセキュリティー管理などを行っていた。自分たちも協力していくことで、より学校に対して気持ちが入る。そうすると学校の設立後も整備や工夫などの努力への持続が可能になっていくのだ。

その他に、図書館事業スタッフに同行した際には、図書館員養成研修会に参加した。カンボジアでは教員の不足が大きな問題の一つである。しかも、生徒の年率成長が3.66%に比べ、教員の年率成長は1.88%にしか上らない。SVAはその中でも図書館員や校長先生に向けて研修を行い、先生たちの質の向上を図っている。この研修会は、以前はSVAが全てを仕切っていたものの、現在はほとんどをカンボジアの教育省や州の教育局に任すことができている。NGOの力だけではなく、カンボジアの人々の手で復興支援を行えるよう、成果を遂げてきている。

一方スラムでは好ましくない現状が起きていた。バサックスラムには以前、住民たちが立ち上げたコミュニティースクールが存在した。しかしバサックスラムは2006年5月に強制移転させられ、2箇所の移転地では未だに教育にまで手が伸ばせていない状況だ。強制移転を行った政府と企業は移転地に学校の校舎を建設中だった。しかし、先生は準備されておらず、移転地の住民の管理もしっかりしていなく、まだ何もできていない状況に「学校を造った」という形だけの援助が存在してしまっていることも痛感した。

私の研究テーマであるノンフォーマル教育については、さまざまなNGOがカンボジアでどのような活動を行っているか、訪問をしながら調べていった。ノンフォーマル教育といっても様々な種類があるし、様々な方法で行われている。孤児院のように地方から学校に行けない子供たちを集めて教育をしている団体もあるが、多くの団体は正規の学校に行けるようにつなげるまでの過程をノンフォーマル教育で補う活動を行っていた。どの団体でも共通していた意見は、カンボジアでは教育の場でも汚職が多く、正規の学校は教育の質がよくないということ。教員や校舎の不足、お金の徴収など教員の質の悪さ、授業の行い方、教える教科の少なさ、学校の環境など、学校は生徒たちにとって通いにくい場となっている。そのような状況が増えれば増えるほど、学校に行けない子供は増え、ノンフォーマル教育も必要となってくる。政府は教育に対し、まだ積極的な取り組みは行っておらず、多くのNGOが支援をしなければならない状況になっている。カンボジアのように政府が国を管理するにはまだ不十分な国では、NGOなど外からの援助が特に必要になってくるのではないかと感じた。

<感想・アドバイス>

約1ヶ月の間、たくさんの経験をさせていただき、そしてとても楽しめた。スタッフは長年働いている人たちが多く、お話してくださること一つ一つがとても貴重だった。カンボジアは魅力的な国で、新鮮な経験ばかりさせてもらった。この国には重い歴史があり、それがカンボジアの人々にとって大きく影響している。私はその歴史を詳しく知らないまま行って後悔したので、その国の事情をよく勉強しておくことをおすすめする。また、事前から自分の研究テーマをしっかり固めて、どのように調査するかなどをしっかりさせておいた方がより効率よく調査できると思う。