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2006年度 春学期

尾田晴香(2年)

<活動内容>

 2006年8月1日から8月29日の約1ヶ月間、私はタイのバンコク事務所でインターンシップを受けた。現在、バンコク事務所では、バンコクの3ヵ所のスラム、北部パヤオ県、東北部ルーイ県、スリン県で、常設・移動図書館活動、奨学金供与、学生寮・保育園の運営などの教育支援、そして職業訓練、地域開発などの活動をいっている。今回私は、バンコクと東北部ルーイ県(チェンカーン郡)の2ヶ所で研修を受けた。

研修内容は、日本人スタッフの担当者と話し合い、自分のテーマを基に研修プログラムが組まれていった。事務所での業務はほとんどと言ってよいほどない。というのは、バンコク事務所では日本人スタッフ3名以外は、現地のタイ人スタッフなので、仕事は全てタイ語で行われている。お手伝いといえば、来客の方々にお茶を出したり、SVAのいろいろな広告を折る作業くらいであった。

 まず1週目は、午前中にタイ語学校へ通い、午後は事務所で簡単なお手伝いと事業説明、クロントイスラム・スアンプルースラム・チュアパーンスラムの3ヵ所のスラムの視察、移動図書館活動などに参加した。

 2週目は、東北部ルーイ県(チェンカーン郡)にある学生寮で、学生たちと共に生活を送った。また、学生の家で3日ほどホームステイもした。他には、その学生たちが通うチェンカーン学校や、近くの村の小学校を訪問した。

 3週目は、再びバンコクで、チュアパーンスラム地域にある図書館のお手伝いをした。主に掃除や本の整理をしたり、近くの保育園から子どもたちが訪れる日には、お遊戯やゲームをしたり、一緒に絵本を読んだりもした。また、スラムの中にある一般家庭でホームステイをした。

<感想>

 上記にも書いたように、タイのバンコク事務所での研修は、他のSVA事務所と違い、事務的な仕事はごくわずかであった。自分の研修テーマを基にプログラムが組まれ、田舎でのホームステイ、そしてスラムでのホームステイなど、貴重な体験を得たのはもちろんのこと、有意義で充実した研修を行うことができたと思う。

さまざまな活動の中で、私が特に興味を持ったのは常設・移動図書館活動である。バンコクは多大な人口でありながら、図書館は全部で8個しかないそうだ。公共施設があまりにも少ないという状況である。そこで、バンコク事務所が最も力を入れている常設・移動図書館は、地域の人々にとってなくてはならない大切な存在であるということを、感じられずにはいられなかった。このSVAの図書館には、日本の絵本をタイ語に訳したものや、漫画、新聞、雑誌などの本が置かれていて、また貸し出しもしている。大抵の子どもたちは学校帰りに図書館へ訪れていた。この図書館の素晴らしいところは、子どもたちだけではなく、タクシーの運転手さんやお店のおばさんが、仕事の合間に新聞を読みに来たり昼食をとったりと、地域の人々が気軽に立ち寄ることのできる図書館なのだ。また、スタッフが図書館を離れるときは、必ず地域の人が留守番をする。簡単なように思えるかもしれないが、このやり取りはスタッフと地域の人々が時間をかけて築いてきた、信頼関係があってこそできることなのだと思った。移動図書館活動は、スラム地区を中心に年間200ヶ所以上を回っているそうだ。絵本を積んだワゴン車を見つけた子どもたちが嬉しそうに出迎えてくれる。移動図書館でも、絵本の読み聞かせや紙芝居、ゲームなどを行った。やはりここでも、子供たちだけではなく、子供たちの親や、カップルで遊びに来ている人たちみんなが楽しんでいた。これらの図書館は、地域の人々が気軽に立ち寄って、本を手に取り学習ができるきっかけの場、そしてコミュニティの場でもあるのだ。この教育(学習)に触れる機会をつくり、地域の人々が自立していけるように支援をするのがSVAの役割であり、また、目的でもある。この図書館はSVAの理にかなった活動の一つなのではないかと感じた。

タイの田舎、チェンカーンでの生活は、大都会のバンコクとはまるで違って、のんびりとした穏やかな毎日だった。人々はとても温かく、笑顔の絶えない寮生活は、朝・昼・夜ご飯を作り、掃除・洗濯も全て学生自身がやる。自分より年下の子たちばかりであったが、皆、とても自立していて反省させられることが多かった。皆学校が大好きで、寮生活も大好きだと口を揃えて言っていた。実は、この田舎の農村と都会のスラムには密接な関係がある。農村から出稼ぎで都会へ出てきた人々が、木材などを集めてきて家を建て、それが口コミで伝わっていき、今では20万人が暮らすほどに膨れ上がったのがスラムなのである。もちろんライフラインもなければゴミの収集もなく、環境問題が発生する。スラムを視察したときの匂いはひどいものであった。このスラムには環境問題の他、居住権や仕事、ドラックなどのさまざまな問題があり、近日、政府が協力を始めても追いつかずの状況である。ここでもSVAでは教育が必要と考え、「貧しい人々に家を建ててあげたりするのではなく、教育を受けることによって学習して知識が増える。それが貧困やさまざまな問題を解決し、人々が自立していける一番の方法である。」とスタッフの方は言っていた。実際に一部のスラム地域では、自分達の問題を解決するため、卵とゴミの交換をするという、ゴミの収集運動を行ったりしていた。

この一ヶ月間、毎日が新しい発見の毎日で、机上だけでは決して学ぶことのできないものをたくさん吸収し、体験できたと思う。また、自分の無知さに気づかされたので、これからいろいろなことを学習して、知識をつけたいと思う。そしてこの貴重な経験が、自分の将来に繋がることを強く願う。

<今後の方へのアドバイス>

大都会のバンコクでもほとんど英語が通じなかったので、事前にタイ語は勉強しておくべきだと思います。特にアンケートやインタビューをする方は、あらかじめ準備をして、バンコク事務所のスタッフの方に訳してもらう方がスムーズに研修が進むと思います。