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2005年度 春学期

三木真冴(2年)

<実習テーマ>

実習期間:2005年8月1日~8月31日

 私は、SVAのプノンペン事務所でインターンを実施した。私のテーマは「カンボジアの農村の復興における仏教の役割」である。私がこのテーマに決定した理由は、内戦によって被害を受けたカンボジアの復興において仏教が大きな役割を果たすと考えたからである。

 まずカンボジアにおける仏教について説明をする。カンボジア人の約90%が仏教徒である。カンボジアでは民衆と僧侶は互いに必要とし、互いに支えあうことで社会が成立していた。それは民衆が喜捨をすることで僧侶を物質的に支え、僧侶は民衆に教育を広め、教育の中心になっていた。教育以外にも道、橋の改修やため池、井戸を作るなど民衆のための公共事業をカンボジアの農村では寺院が担ってきた。仏教は民衆の精神的な拠り所になると同時に、その社会や伝統文化の重要な支柱になっていた。しかし、内戦時代に仏教は大きな被害を受け、寺院は破壊され、僧侶は虐殺された。人々は宗教を信じることを一切禁止された。

カンボジア人にとって仏教とは生活の中で様々に関わり、彼らにとって最も大切なもののひとつではないか。仏教は彼らの精神的な支えでありカンボジアの人たちに安らぎを与え、また寺院が行っている社会活動で物質的にもカンボジアの人々の生活も支え、カンボジアの社会に安定をもたらす存在ではないかと考える。

今回の調査では農村の村人の仏教に対する意識の調査を行った。カンボジアの人口の90%が農民であるし、ポルポト時代に虐殺や飢餓による労働力の低下、強制移住によって社会秩序が崩壊してしまったことで最も被害が大きく、復興が必要であると考える。よってカンボジアの農村における村人への仏教の意識調査を行うことにした。

調査対象は15歳〜20歳の男女と内戦時代を経験している40歳以上の男女である。調査地はバンティミンチェイとコンポントムの農村である。

調査方法は農村に行き村人にインタビューを行った。英語で作った質問表を通訳の方に通訳してもらいインタビューを行った。

今回、人数は少ないが農村で村人にインタビューを行い彼らの仏教に対する意識を理解することが出来た。性別、年代に関わりなくインタビューした全ての人たちが、寺に必ず行き、寄進をし、寺院が行っている社会活動に参加していた。年齢や性別で違いが出ると思っていたのでこの結果にはとても驚き、カンボジアの人々の仏教に対する意識の大きさを実感した。

特に、40歳以上のポルポト時代を経験した人たちの仏教に対する意識はとても強く、熱心なものであった。また、それだけポルポト時代に失ったものも大きかった。40歳以上の村人に「ポルポト時代に失ったものは何ですか」と質問をすると全ての人が「兄弟」または「両親」と答えた。なかには目の前で両親が殺された人、食べ物が無く周りの人が餓死していく中自分だけが生き残った人たちなど、悲劇の時代を行きぬいた人たちばかりであった。

私は仏教が復興したことで彼らの心も復興できたのではないかと考える。「どのように仏教はあなたの心の支えになりますか」という答えには「復讐をしてはいけないという仏教の教えが怒りを和らげてくれた」と答えてくれた人もいた。心の支えという意味以外でも「平和」、「共生」、「愛」などポルポト時代に失ってしまったものを取り戻せる存在として人々の心の中に仏教があるのではないか。

インタビューを行った村では村と寺院のコミュニティーは徐々に回復してきているようだ。僧の数も内戦の前の数に戻りつつあり、寺院の再建も終了し、公共事業として寺院の周りの道や橋の修理をしていた。僧も寄進されたお金を出すだけでなく事業に参加し、村人も積極的に参加しているようだった。村人は僧のために食べ物を寄進し、僧は人々にモラルを教えるという関係は平和と共にカンボジアの農村に戻ってきた。

今回のインタビューで私が注目した点は若者の世代が仏教に対しての意識が低いということである。ポルポト時代を経験した年代としていない年代で意識の違いがあるのは仕方の無いことだが、カンボジアの未来を支える全人口の40%を占める20歳以下の人たちの仏教に対する意識はやはり重要なものであると思う。

インタビューをした40歳以上の人たちは二度と悲劇を繰り返してほしくないと願っているし、仏教・文化を若い世代に伝えていきたいと述べていた。宗教、文化を復興することが国を復興させ、守り続けることで平和をもたらすのではないか。悲劇の時代を生きぬいた全人口の9%の40歳以上の人たちが若い世代に伝え、時代は変わっても人々の意識は変わらず、仏教、文化を大切に守り続けることがカンボジアの未来に必要であると考える。

<感想>

 今回の調査は30人しかインタビューできずに信憑性にかけるかも知れないが、実際に本人から聞き、確かなカンボジア人の意見を聞けたということは文献を読むより価値あるものに思えた。

 今回の実習は自分の調査が大部分になってしまったが、翻訳や書類の作成、スタディーツアーの手伝いなど現地のNGOの活動が理解できたと思う。将来NGOで働きたいと思っている自分にとって、現地の事務所でスタッフの方と働き、いろいろ話を聞けたことはいい経験になった。また今後の課題も見えてきた。今回の経験を自分の将来のために活かしていきたい。