桜美林大学 国際協力専攻ホームページ



2003年度 春学期

鈴木久美(3年)

 私は今回、特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)で7月28日から8月8日までの2週間、国際学部のインターンとして貴重な体験を通して、日本のエネルギー政策の重要さや、問題について身近に感じることができました。環境エネルギー政策研究所は、持続可能なエネルギー政策の実現を目的とし、政府や産業界へ政策提言を行う、政策提言型NGOです。

同研究所は、京都女子大学の教授でもある飯田哲也さんを所長に、また5月に桜美林で講演をしていただいた大林ミカさんを副所長とし、自然エネルギー、省エネルギー、エネルギー市場の適正化などを主な活動として日本のエネルギー政策に関する調査や研究、勉強会の開催・参加を通して政府や地方自治体に政策提言を行っています。環境エネルギー政策研究所は日本のエネルギー政策の導入と改善を目的とした数少ないNGOです。また、同研究所は市民風車の建設を目的とした自然エネルギー市民ファンドという団体も研究所で活動しています。同研究所には飯田さんや大林さんのほかに、数人の研究員と大学院からのインターン生を中心に活動しています。私がお世話になっていた2週間は、飯田さんが先進的なエネルギー政策を行う、デンマークへ出張していたためお会いすることができませんでしたが、大林さんを中心にご指導をしていただきました。

 私は大学でアジア研究を専攻に特に経済を中心に勉強をしていたため、今まで環境問題やNGOに関した知識もなくインターン前はとても不安でした。今回のインターンに参加した理由は少しでも貴重な体験を卒業前にしてみたかったからです。もともと環境問題には関心はあり、アジアにおける環境問題や日本のエネルギー政策について知識を深めることができたらと思い、参加しました。

 この2週間、私のほかに、京都精華大学からのインターン生と一緒に貴重な体験をしました。私の仕事の主な内容は勉強会や審議会の傍聴と資料整理、市民風車建設のために出資する方へのDM作りでした。日本のエネルギー政策の政策提言を目的としたほかのNGO団体による勉強会や環境省、東京都主催の審議会はとても私にとって貴重な体験でした。

 私がこの2週間で印象的だったのが、JACSESという環境エネルギー政策研究所とはまた別の政策提言型のNGOが主催したシンポジウムとワークショップの傍聴でした。シンポジウムではアメリカ州政府議員による環境保全のための税制措置や、パキスタンからゲストを呼んで、国際協力資金による環境問題解決のためのダム建設による被害等をプレゼンテーションしていました。私は前にもいいましたが、今まで国際協力や環境、開発といったことについて知識がなかったため、国際協力資金が開発プロジェクトによって、森林破壊や人体への影響を及ぼしているという事実があることは知りませんでした。ここでは、パキスタンのチャシュマダムからインダス川沿いに運河を堀るといった灌漑プロジェクトについての事例が挙げられていたのですが、150以上からなる自然の水流を72の排水路にまとめたために、水流の破壊力が増し、洪水の発生で農作物や家屋が深刻な被害を受けて死者も発生しているそうです。また、現地のNGOによると、5万人以上がこのプロジェクト建設のための土地取得および、洪水により被害を受け、灌漑地への大量の移民の発生から生活形態や地域文化への深刻な影響があるそうです。

 これをきっかけに国際協力資金による環境保全開発のもたらす影響について関心を持つようになりました。環境エネルギー政策研究所でも自然エネルギー関連以外について、このような国際協力資金についても研究をしている方がいらっしゃったので、関連文献を紹介していただき、話を聞くこともできました。

 日本には環境問題やエネルギー政策について経済産業省と環境省が関連するのですが、環境とエネルギー問題は切っても切れない問題であるにもかかわらず、日本では関連省庁が二極化して意見や利害の対立をし、なかなか前進しないのが現状です。環境省主催の国立国定公園における風車発電導入の勉強会にも傍聴したのですが、第一回目の勉強会ということもあったのですが、知識の乏しい私にとってはわかりやすい勉強会であったという印象でした。しかし、大林さんをはじめとする専門家の方々からの見地では、環境省は風力発電、建設について勉強不足であるという批判がありました。国立国定公園に風車を建設することは私にとっては斬新で画期的な案であると感じていたのですが、建設に伴い、景観や野生生物などへの影響が懸念されるという問題があるということも知ることができました。

 また、桜美林のコア教育センターの伊藤章治先生が桜美林の復活の丘に風車建設をしたいとのことで研究所へ話を聞きにいらっしゃいました。現在、大学敷地内に風車を所有する大学は全国で2.3校ととても少なく、その話を聞いたときは私も桜美林に風車建設をすることに賛同しました。私自身、風車建設について、景観や野生生物への懸念という問題がありますが、桜美林の復活の丘に風車が立つことは景観的にもいいと思う一方、国立国定公園とは違って野生生物への懸念も深刻ではないという考えからぜひ、桜美林での風車建設が実現してくれればと思っています。

 公共施設として、また国立国定公園に早期風車建設が難しい今に、このように大学が率先して敷地内に風車を導入することはとてもいいことであると感じました。

 このように、さまざまな問題やそのことにまつわる審議会をこの2週間で体験できたことは私にとって、すべてが新鮮でどの問題にとってもわたしたちのくらしに影響することであったと思います。桜美林には環境問題やエネルギー政策に関した学部や授業が充実していないため、知識もなく、勉強不足から、話を聞くことが難しいと感じることがありました。そのため、もっと勉強しておけばよかったと後悔もしています。

 私は、大学でも環境問題やエネルギー政策を専攻としていないうえに、大学院への進学も考えていませんでした。しかし、研究所での2週間は新たな領域を知るうえで、とても貴重な体験ができたと同時に風車建設やエネルギー政策を身近に捉え、関心を高めることができたと感じています。

研究所は大学院からのインターン生が多いので、次回、研究所へのインターンを希望するのであれば、環境問題やエネルギー政策に関して知識がないとしても、大学院への進学を考えている人であれば、進学について貴重な話が聞けると思います。そこで、修士論文の話なども聞け、環境という、新たな領域を知る機会ができると思います。
最後に、2週間という短い間でしたが、ご指導をしていただいた大林さんをはじめ環境エネルギー政策研究所の方々や、インターン前の不安を懸念して勉強会の機会を与えて指導していただいた牧田先生、奥野先生、佐藤先生、瀧井先生に感謝の気持ちでいっぱいです。多大なご指導ありがとうございました。