桜美林大学 国際協力専攻ホームページ



2003年度 秋学期

長渡未央(2年)

秋学期、私がぶつかった壁は国際協力や国際的な問題に向き合うことは、学問的な楽しさにとどまるのではないかということであった。勉強を進め、学べば学ぶだけ、世界の構造は変るのかと悲観的に、自分がどの立場で問題を考えていけばいいのか分からなくなっていた。やってみたい職という夢が膨らむ一方で、一体学問としての視点ではなく、職業として国際協力・国際問題に携わるということはどういうことなのか。このことが私にはよく見えず、悩んでも答えがでなかった。文章で現実の一部を情報として形にしていくことに憧れる私にとって、ジャーナル社は、現場を実際に自分の目で見、体験してみる上で最適な場ではないか。そして、将来に対する不安を、インターンを通して少しでも違う形にしたいと思った。これが、私がインターンへ参加した動機であった。

インターンで行った仕事内容

私がこのインターンで行ったことは建設会社、商事会社への営業同行をはじめ、ジャーナル社内にて『国際協力用語集』第2版から、近日発売された第3版への改訂箇所の確認・入力作業、この本の売り込みに向けて全国の女性センター・男女共同参画センターの連絡先リストの作成。また、ジャーナル社が出しているJICAの広報誌「国際協力」においては、読者アンケートの入力作業、編集補助、NGO紹介ページに向けてのNGOへの取材同行、本紹介ページに向けて書評を書いた。また、JICAから依頼された仕事であるという、日本センターのパンフレット作成のための資料作りとして、ラオス・カザフスタン・ウズベキスタン・ベトナム・モンゴルの経済推移、対日輸出入貿易統計、品目順位等を調べ、その表を作成した。その他、3月4日に開催されたジャーナル社主催のODA実務者セミナーの資料準備、当日の受付及び片付け、そして約2時間半におよぶ講演のテープおこしを後日行った。また、これらの仕事の合間に、記事に使う写真の受け取り、デザイン事務所へ資料の受け渡し、JICA図書館へ本の返却などを行った。

インターンで学んだこと・感じたこと

2週間という短い期間ではあったが、様々な角度から仕事を体験することができた。その中で、私は単によりよい特集を記事にし、多くの人に読んでもらうことだけが出版業ではないということを学んだ。一冊の本を作り上げるためには、まず何よりも営業という職が必要不可欠であること。今まで私は文章を生み出す方にばかり目がいっていたが、広告をとってくる仕事を請け負う人がいなければ、雑誌は出来上がらないということを痛感した。

また、記事の内容はすべて用意され、置物のようにあるわけでは決してないので、どれだけ情報を集め、調べられるかということこそが重要な作業なのだと感じた。私がやらせていただいた仕事の中でも、特に日本センターのパンフ作りのための統計資料収集作業においては、こちらが望む資料を探し出すのがとても困難であった。しかし、こういったひとつ一つの細かい作業によって記事への形ができていくのだと思うと、資料を見つけることができたときは嬉しかった。

テープおこしも、耳から入る内容自体が難しく、文章化してく作業は簡単に終わるものではなく大変だった。私は最後まで作業が終わらずにインターンが終了となってしまったが、私が打ち込んだ文字数は2万字以上であった。しかし、これが記事として要約されると「国際開発ジャーナル」誌のたった2ページにすぎないという。自分で書評を書いたときも感じたが、やはり限られた文字数の中で伝えたい思いや情報を書き上げるということは苦しい作業だと思った。

そして営業への同行、セミナーを通じ、今回私は企業と国際協力のつながり、特にODAと企業との関わり合いに驚いた。ODAの有償資金協力には多くの日本企業が案件形成に携わっており、国際協力において企業という視点も不可欠であるということを学んだ。今まではNGOなどの取り組みや、国連等の人道支援的な協力でしか捉えてこなかったように思う。また、国際協力は少数派の活動かと思っていたが、実際には様々な立場で関わっている人がおり、JICAや企業またNGOや一個人という繋がりや関係の中で、国際問題も今後の取り組みも考えていかなければならないのだと強く感じた。

そして、インターンで日を重ねるごとに生じた疑問は、このような多面的な側面を持つ国際協力はやはりどの立場に立つかによって全く考え方も異なる。従って、記事を書く上で会社としての姿勢、また自分自身の考え、そして様々な立場の読者がいるということを最大限に考慮しなければならないということは困難なことではないのかということであった。この問いは自分が大学でぶつかった壁にも通じる。考えていることの質や壁の大きさは私と比べられないくらい大きいだろうが、返ってきた答えはやはりそのところはすごく難しい、苦しいということであった。同じ様な思いは、やはり働く場の中でも生じているのだと知ることができたら、私も極論に走ることより、まずは色んな角度から考えてみることが大事なのではないかと思いを改めることができた。

あっという間の2週間であったが、めまぐるしく、充実した時間が過ごせた。自分が仕事をやる横で、実際に忙しく働いている社員の方を観察できたことはとても刺激になった。ジャーナル社は少数の人数編制で両誌を作成しているため、一人の人が請け負う仕事の量も多く、とても忙しそうであったが、私の質問にも丁寧に答えてくださり、お話できる時間を作って頂けたことを嬉しく思った。一つ一つの仕事で学んだことも多かったが、ジャーナル社で働く方と出会え、話ができたことは何よりも大きかったように思う。人数が少ないだけに、たった二週間という時間でも社員の方の顔と名前が把握でき、また安心して過ごせる和やかな雰囲気と人の温かさが感じられる職場であったことに魅力を感じた。

仕事にも慣れ、職場の雰囲気にも居心地のよさを感じ始め、社員の方とも接しやすくなった頃にインターンが終了してしまったので、2週間ではなく1月のインターンに挑戦してみてもよかったと思い、お別れを寂しく感じた。反省点としては、出かける際あわてていることが多く、頼まれた資料のためのメモや地図を社内に忘れたり、電車に乗り間違えたり、乗り過ごしたりするということが多々あったので、急ぐよりも慎重にもう少し落ち着いて仕事や行動ができたらよかった。また私の率直な質問や思いを社員の方に度々尋ね、その都度社員の方は丁寧に答えて下さったが、悪く取れば失礼な質問もあったかもしれないのでもう少し言葉を選ぶべきだったと思う。

2週間の体験は思った以上に学んだことや感じたことがあった。今後の進路問題は簡単に答えがでるものではやはりないが、このインターンでの経験とジャーナル社の方の声をこの先に生かせるようにしたい。

次のインターン生へ

インターンへの参加動機、実際に与えられる仕事の内容、そして学び得るものは人それぞれであり、それでいいのではないかと思う。バイトでもボランティアでもないインターン、だからこそ自分で掲げた課題があっても時にインターンとは何だろうかと問いたくなるときがあった。しかし、インターンは働く現場を自ら見、経験し、働く人の声を実際に聞けるという普段の大学生活の中からは絶対に得られない一つの貴重な機会である。これだけは明確だ。どんな答えを得られるかは分からないが、まずはこの機会を生かし挑戦してみることを大切にし、次へ繋げる道を作ることが大事だと思う。自分に足らないものや後悔はやらないと生まれない。悩むよりもやって後悔する何かを見つけることのほうが今やるべきことだと思う。