桜美林大学 国際協力専攻ホームページ



2003年度 春学期

金 由里(3年)

 私は在日三世である。小学校から高校まで朝鮮学校で朝鮮語(以下「ウリマル」と略す)による授業を受け、日本に住みながら母国語を学ぶ喜びを常に実感してきた。桜美林大学国際学部へ進学して、朝鮮学校へ通ったことにますます誇りを持つようになり、ウリマルを話せることがどんなにいいものか大学で出会ったたくさんの人びとを通じて、実感するようになった。

<活動内容>

 2003年8月18日から29日までの2週間、国際学部のインターンシッププログラムの一環として、財団法人国際文化フォーラム(以下「フォーラム」と略す)で研修を受けた。前半はフォーラムが実施する高校生におけるウリマル教育の関連事業、後半は日本の高校生の生活写真教材「であい」等の事業に関して担当者から説明を受けた他、機関紙の編集作業について学んだ。その他、国際交流基金へ訪問し、外国の方たちと交流を行った。

 フォーラムは互いのことばと文化を学ぶことによって、日本と諸外国との関係を密接することができると考えている。その事業の一つであるウリマル教育事業は、日本と朝鮮、また在日と日本人との相互理解を深めるための第一歩として位置づけられている。フォーラムの後押しで、高等学校韓国朝鮮語教育ネットワークというウリマル教育の教員組織を設立し、高校生にウリマルを広めたいという気持ちで活動を行っている。またウリマルの教員免許を持っている者が少ないことから、2001年度から天理大学と神田外語大学において、ウリマルの教員免許を取得するための集中講座が開かれた。2002年度からはソウルで教師研修のプログラムが実施されていることを中心に、ウリマル教育事業とはどんなことか担当者から説明を受け、フォーラムの機関紙に掲載されている事業内容を熟読しながら思った、「なぜ高校生にウリマルを教えるのか」という私の疑問を文章にまとめてみることにしたと同時に、編集作業についても学んだ。

 次に日本の高校生の写真教材「であい」の事業に関わった。「であい」は外国で日本語を学んでいる人たちへ、日本の文化と高校生たちの生活模様を理解するための日本語教育教材である。実在する七人の高校生の日常生活を写真と文章で紹介していくかたちで、教材は成り立っている。教材を整理しながら、日本の高校生と日本語教育について思ったことを担当者に報告することになった。「であい」を見るまでは、日本の高校生たちの現状についてわかっていなかった。私は朝鮮学校に通っていたため、友達は朝鮮人しかいなかった。日本の高校生との交流もめったになく、日本人と友達になることは勇気がいるものだった。しかし七人の高校生を見て、朝鮮学校の高校生も日本の高校生と変わらない、普通の高校生だと思った。クラブ活動を楽しんでいること、家族と友達を大切にしていること、夢に向かって勉強すること等、共感できる部分がたくさんあり、嬉しく思った。インターン期間中、「であい」を使用している外国の日本語教師に会う機会ができた。先生に会って日本語教育についてお話しを聞くため、研修先の国際交流基金日本語国際センターへ行った。ニュージーランドの先生であった。最初は趣味で日本語を勉強するようになり、自然と日本語の教員になったことを教えてくれた。今では教科書まで制作しているほどだ。授業で「であい」をどのように使用し、問題点などを熱心に応えていた。生徒に日本語の素晴らしさを伝えたいという気持ちが、強く伝わってきた。先生が制作している教科書の一部を見ても、その情熱はわかる。写真やイラストを利用して、日本の習慣を学べるようになっていた。ことばを学ぶことによって、交流が深まることの大切さを深く実感した。そして「であい」が世界各国で、幅広く使用されていることに感嘆した。ニュージーランドの日本語教師と会った後、今度は韓国の日本語教師と会った。その日は日本語国際センターで研修を終えた日本語教師たちの、送別会があり私も参加した。韓国の先生は、韓国での日本語教育についてお話しをしてくれ、先生が日本語に興味をもちだしたきっかけを教えてくれた。先生が教えている高校は釜山にある。私の故郷に近い都市であるため、まだ一度も故郷を訪ねたことがない私に一生懸命、町並みについて説明してくれた。私がウリマルを話せることを喜んでくれ、いつか必ず韓国で再会することを約束した。短時間であったが、同じ民族である嬉しさを実感した。その他国際交流基金へ訪問し、中国で日本語を教えていた青年教師帰国報告会に参加した。中国で日本語が普及されている確率が高いと思っていたが、意外にも田舎の地区では日本語を教えている学校が少なくなっており低迷していることを報告していた。市場経済への移行とWTO加盟や北京オリンピック開催決定等で、国策として英語教育が重視されている中国の教育事情を知ることができた。以上、インターン期間中の主な活動内容である。

<学んだこと>

 編集作業では、編集の基礎を一部学んだ。文章を読む側を考えて文を作成しレイアウトしていくことが重要であると実感した。特にこの期間で、読みやすく特徴のある文章を書くことは、たやすいことではないと思った。私自身の文章能力も、さらに磨き上げねばならないことを教えてくれた、良い機会であった。本や雑誌の編集の仕事の一部を知ることができて、大変勉強になった。これから本を読むにあたって一文字、一文字を噛み締めて読まなければならないと思った。

 インターン期間中、韓国のハンギョレ新聞の東京支社に勤める記者に会う機会を恵まれた。私のウリマルのレベルを確認できる良いチャンスであった。一般的な会話は通じたが、政治や経済の問題になると自分の意見をはっきりと伝えられなかった。再会する日がくれば自分の考えや意思が伝わるよう、政治経済にかかわらず広い分野を勉強し、会話のレベルも向上しなければならないと、つくづく実感した。

私のインターンの担当者は、日本人だがウリマルを流暢に話せる。日本語を話さなければ、韓国人に見えるほどである。在日で12年間、朝鮮学校に通った私でさえも、驚くほどの語学力だった。日本人でもここまでの語学力に達している人がいるのだと、身にしみて感じたと同時に自身への危機にも感じたので、私も負けずに頑張らなければと思った。

フォーラムでインターンを行って一番学んだことは、ことばのもつ力の偉大さを知ったことだ。ことばを学べば、その国に対する偏見や先入観をなくし、親近感が自然とわいてくる。異文化理解をして自国を振り返ることの大切さを学んだ。それはインターン期間中に出会った全ての人たちを通して、言えることだと思う。

<改善の希望>

 インターン先が、大学からインターンの概要について詳しく説明を受けていなかったため、インターンの主旨について明確に伝えると良いのではと思った。