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2003年度 春学期

 神元愛美子(3年)

 特定非営利活動法人である開発教育協会で15日間インターンとして開発教育協会の仕事に携わりつつ、協会が行なうセミナーにも参加させていただいた。今回は毎年開催される全国開発教育研究集会と時期が重なっていたため普段とは違う作業を経験し、そして研究集会のため集まった数多くのボランティアや開発教育協会関係者と関わることができた。

実習の概要

5月 22日  開発教育入門講座参加

6月 14日 2003年度 定期会員総会(記録)

20日  『世界がもし、100人の村だったら』教材体験セミナー参加

7月 22日 入力作業、ボランティア説明会参加

23日 入力作業、開発教育入門講座(記録)

24日 全国開発教育研究集会準備(宛名ラベル作成)

25日 全国開発教育研究集会入場券作成 

28日 会報発送作業

29日 会報発送作業

30日 全国開発教育研究集会用資料,張り紙作り

31日  参加者ネームプレート作成、書籍運搬 

8月  1日 全国開発教育研究集会会場準備

2日 全国開発教育研究集会(インフォメーションコーナー)

3日 全国開発教育研究集会(インフォメーションコーナー)

5日  「英国の市民教育」セミナー参加

開発教育協会

 1982年に開発教育を日本で普及すべく連絡協議団体として結成された。開発教育とは我々の日々の生活が途上国の人々との繋がりによって成り立っていること、南北問題や貧困、環境問題における先進国と途上国の関係とそれが構造的におきることを理解した上で、問題を自分自信で考え、解決に向けて行動する教育活動である。現在、開発教育協会は主に5つの役割を担っている。一つはアドボカシー。二つ目に開発の関係団体との情報交換やネットワークづくり。これは海外のNGOに毎年訪問したりしている。第三に開発教育の調査研究。教材タスクチームが社会人や学生から結成されており平日の夜に既存の教材の改訂や協会独自の新教材作成。第四に情報収集と発信。会報の発行や地域セミナー、協会の教材を使用して開発教育を体験する教材セミナーや全国研究集会などが主に挙げられる。最後に総合学習の支援や講師派遣である。近年、総合的な学習の時間が導入され教員のセミナー参加も目立ち協会も力をいれている。開発教育が目指しているものは「共に生きることのできる公正な社会づくりのための教育」であり、教育の対象が学校教育に限られていない。大人を含めすべての人に必要な教育である。講師派遣も大学や高等学校、JICA (国際協力事業団)やNGOまで幅広く実施されている。

 開発教育は「知り」「考え」「行動する」学習活動であり、特定の正解を導くものではない。その方法は講師が一方的に講義する一斉授業でなく「参加型学習」で行なわれる。講師はファシリテーターであり進行役に過ぎず、参加者は自由に自らの意見を述べることができる。アクティビティ中心でロールプレイなどがよく取り入れられる。

セミナー参加

 今回のインターンで私は主に三つのセミナーに参加した。開発教育入門講座と『世界がもし、100人の村だったら』教材体験セミナー、そして「英国の市民教育」セミナーである。前者の二つは平日の夜に開発教育協会の事務所で開催され、学生、教職員、NGO関係者が集まった。開発教育入門講座はパーム油の話だった。我々の身の回りの製品に含まれる植物性油脂の原料を辿り、マレーシアの農場の生活まで辿り着く。我々の日常生活が途上国と密接に繋がりを持つことを気づかせる内容である。参加者は、日本の消費者、商社、途上国政府、農場経営者、農場労働者に分かれロールプレイングを行なった後、話し合いをした。『世界がもし、100人の村だったら』教材体験セミナーはメールが出回り、本も出版された『世界がもし、100人の村だったら』に基づいて行われた。本のように参加者を「100人」に見立て、本の内容を実行したセミナーだった。人口、識字率、年齢、経済格差、宗教を視覚で捉えるのは興味深かった。「英国の市民教育」セミナーは英国のレスター大学の教授であるオスラー氏によって行なわれた。ワークショップ形式で行われたセミナーでは前半に市民の権利と義務を考えた。後半には子どもの問題(子どもの参画、食問題、買春等)のうち、インド、イギリス、日本ではそれぞれ何が問題か、深刻だと思う問題はどれか、実際に自分が解決できると思える問題はどれか考えた。深刻だと思う問題と解決できると思う問題は重なり難く、また他国の現状に無知なことに気づいた。3セミナーとも解答を出して終了するものはけしてなく、体験した内容から自らが「気づき」を持つことができた。

  考え、行動するか否かは自分次第であるが、参加者が開発に興味を持つよい出発点に成るであろう。教職を目指している私にとってこれらのセミナーへの参加は参加型学習の手法やアイスブレイキングの多彩な方法も学ぶことができ、大変有意義なものであった。

事務所と全国開発研究集会での業務内容

 事務所では入力作業、会報の発送作業、印刷、資料整理、全国開発教育研究集会のための用意を主にしていた。事務作業の中に学ぶことが多数あった。パソコンでwordやexcelの使用もいかに効率よく進めていくかのノウハウがあるか否かでは随分と作業効率が違った。大学生活では使わないwordとexcelの機能に戸惑い、午前中が一つの作業で終わることもあり大変な迷惑をかけたこともあった。会報の発送作業は同じ書類の束を幾つも作り、封筒に入れていくのみのため一見簡単そうに見えるが、同じ単純作業を何時間もひたすら継続して行うのは頭を使うのとは異なる大変さがある。スタッフの方の「単純作業をしていると発展途上国で毎日同じ単純作業を繰り返す労働者の苦労がわかる」という言葉に頷けた。全国開発教育研究集会で行う前難民高等弁務官である緒方貞子氏の基調講演用資料用意では会議室に埋め尽くされたUNHCRから送られた膨大な量の資料をボランティアの方々と袋詰めしていった。終わりが見えないその量に間に合うのかどうか疑問を抱いていたが協力したお蔭で一日で終えることができた。研究集会当日はインフォメーションコーナーで書籍販売を担当した。書籍を売っているとき、事務所で作業をしているとき、ボランティアやインターンの方から他のNGOの現場の話、教員の方から学校現場の話と様々な現場の話を伺うことができた。現場の話はリアリティがありためになる。知識がなくてもその話しから学ぶものはあり、社会に出て経験を積み、経験を学びにつなげていくこともよいのではないかと考えた。

NGOに関わる人々

 開発教育協会は早稲田のビルの一角を事務所として活動している。その活動内容は先ほども触れたが詳細は開発教育協会のHPをぜひ見ていただきたい。この活動内容を見てどう思うだろうか。私はインターンを始める前に開発教育協会はある程度の規模を持ったNPOなのだと思っていった。しかし、実際には事務所は狭く資料閲覧室も十分なスペースを確保できているとは言い難かった。スタッフも5人と協会の活動内容からは考えられないような数に驚いた。それぞれが広報、財務、などを担っており協会を運営しているのだ。

当初、不可能だと思ったがインターンをしていくうちにそれが可能であることが理解できてきた。それは開発教育協会に携わる人々だった。スタッフだけではなく理事と会員、そして多くのボランティアが協会を支えていた。学生は勿論、社会人も仕事の傍ら協会に足を運び、会報の発送作業など協会が忙しくなるときにはUNHCR(難民高等弁務官事務所)、JICA等の他の団体関係者、ボランティアも手伝いに来ていた。この存在はNGOにはなくてはならないと痛感した。スタッフが事務作業をする手間を省き協会の業務に専念するために必須の存在である。

 ボランティアの学生たちは皆、目標を持ち意思を高く持っていたように思える。同じような作業でもバイトをすれば報酬が得られるが、バイトではなく開発教育に興味があり、学ぶためボランティアをしていた。

 全国開発教育研究集会の後、ボランティアたちの間で「DEAR YOUTH」という組織が立ち上げられた。ボランティアとして関わりを持ってもその場限りで続かなかったこれまでを振り返り、学生たちが今後も開発教育に関わりを持ち続けるようにする為だ。NGOとNGOに興味を持つ学生の架け橋的存在も意図している。設立されたばかりなので活動内容はまだ曖昧だが、今年十月に行われる国際協力フェスティバルへの参加が決まっている。今後も定期的に会議を行い、内容を詰めていくようである。このような身近な組織は学生にもNGO側にも大変有効であろう。利点として第一により多くの人がNGOに関われる。第二に外部の意見をNGOが取り入れられる。第三にこの組織が身軽に行動すれば地域レベルでの広報に貢献できる。NGO内部には、他の多数のNGO活動を知る機会があり、NGO活動が身近に感じられるが、一般的にはNGOは自分の生活に直接関係なくNGOを身近に感じ難い。認知度を高めるためにNGO側から地域への歩みよりが必要だ。DEAR YOUTHは主に学生中心の組織なので大学の学園祭や地域の集会、学校の授業へと学生ならではの行動をすればより開発教育が多数の人に認知されるだろう。このNGOから生まれたサブ組織のようなDEAR YOUTHが今後どのような役割を担い影響していくのか興味がある。今後、私もその一人として開発教育との繋がりを持ち今後を見ていきたい。

DEAR:Development Education Association & Resource Centerで開発教育協会のこと。

YOUTH 年齢ではなく開発教育の若葉マークを意味する。

大学へ改善点など

 一つはインターン評価シートをインターン先に郵送するのではなく事前に学生に手渡してほしい。評価シートの受け渡し方を知らず、協会に用紙が送られてきたのがインターン最終日だったため焦った。次にインターン事前指導で事前に学生にインターン先での考察課題を持たせるべきだと思う。折角の大学を通してのインターンプログラムなので一般のプログラムと差別化を図ってもよいのではないだろうか。

その他

 今回私は学校のインターンプログラムを通して開発教育協会という一NPOに関わることとなったが、多数のNGOはボランティアを求めており、なにかしたいと思っている学生はそれを活かすべきである。折角の4年間を「なにかしたいがなにもできなかった」で終わってはもったいない。とにかく参加してみることでそこから自分の方向性を見出せるかもしれない。

最後に大学を始めこのインターン期間中に関わったボランティアの皆さんと多忙な中、指導してくださった開発教育協会のインターン、そしてスタッフの皆さんに心よりお礼申し上げます。