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2002年度

丹羽優子(3年)

私は今回、研究テーマを持ってこのインターンに参加した。それは「子どもの立場から見た図書館活動」である。つまり、「子どもの頃に本を読む意義」というものを調査してみようと思ったのである。その意味で、私が実際に参加し観察を行ったものはすべて図書館活動に通じているといえる。

まずは、おはなしを中心とした図書館活動の状況を簡単に説明する。アジア子どもの家(ACC)という団体が、おはなし活動を行っている。これは様々な場所へ出かけて行って子どもたちを集め、絵本や紙芝居を使っておはなしをするというものだ。このおはなし活動に使われている絵本や紙芝居などはSVAが配布したものである。ACCのスタッフは子どもの興味を引くように高度な技術でおはなしする。これにより、子どもたちの聞く能力・話す能力が伸びることを期待している。また、古くから伝わるクメール民話をおはなしすることによって、カンボジアの文化、習慣、伝統、宗教を理解してくれることも目指している。このおはなし活動を広げるために、SVAではおはなし先生の研修会を行っている。この研修会を実際に見学させてもらった。これは校長先生、図書館員を集め、おはなしの仕方を皆で勉強するというものである。おはなし活動をすることで子どもたちには様々な良い変化が表れるという。それを期待して、小学校や図書館でおはなし活動が広げられていた。その他に、折り紙やお絵かき、伝統舞踊なども図書館活動の一環として教えられていた。

イメージこれらの活動の成果を私は自分なりに「子どもの頃に本を読む意義」という視点から分析してみようと考えた。おはなし活動をする側の大人の立場からと、それを受ける側の子どもの立場から分析を試みた。先生からみた子どもの変化は、子どもの実際の変化であるといえる。そこで、「おはなし先生」を対象にとったアンケートを集計し、「おはなしが子ども達に与えたインパクト」を調べた。また、おはなし先生のアンケート結果と子ども達自身が感じていることを比較するために、子ども達への聞き取りも行った。そして、それらを分析した。すると、アンケートで先生たちが書いていた期待する変化におおよそ近い変化が子どもたちに表れた、という結果が出た。先生たちが期待する変化とは、子どもたちが読み・書きが好きになる、とか学校が楽しくなる、とか賢くなるといったものである。これは、おはなしが子どもに確実に良い変化をもたらしているといえる。実際に現場でおはなし活動を見て、根気のいる地道な活動であると感じた。すぐには成果や結果が出ないものであるが、カンボジアでこの活動が少しずつ草の根のように広がっていることも実感できた。

見学した図書館でたくさんの子どもに出会い、そして彼らの姿を見て思った。日本では、本が読めるのに読まない子どもたちが増えているという。そこには、あふれるほどある本の前でとまどう、日本の子どもたちの姿がある。カンボジアでは、読みたいのに読めない子どもがたくさんいる。読書は押し付けるものではない、とカンボジアには来て強く感じた。それは、ただ単純に、しかしカンボジアの子どもたちは本を読むことやおはなしが好きだとわかったからだ。誰かに強制されることもない。好きな本を読む。それが大事だと感じた。

図書館事業といっても、とても幅広い活動を行っている。ただ、その根底には「図書館活動を通じた初等教育の質的向上」という共通の目指すべき柱がある。おはなし活動という図書館事業を通じて、子どもたちの基礎的な能力が向上することは重要だ。そして、本から学べる豊かな心こそが小さな頃に本を読む意義であると感じた。カンボジアがポル・ポト時代に奪われた愛や平和や信頼といったものも本から学びとってほしいと強く願う。

インターンでの反省点は、事前学習が万全ではなかったことである。現地に行ってから調べたいことがあっても、文献などの資料が少ない。今回は、直前になって研究のテーマを変えたりして準備期間が短かったということもあるが、できる限り情報を集めて、もっと自分の考えをまとめて行くべきだったと感じた。

今後、このインターンでの経験を生かし、ゼミ論を書いていくつもりだ。私のゼミではゼミ論としてエスノグラフィー(民族誌)を仕上げるというものだ。NGOの活動を間近で見て感じたことがたくさんあった。それを自分なりに、テーマと絡めながら浮き彫りにしていこうと思う。

事前研修をもっとしっかりやるべきだと感じた。これは大学側にというよりは、受け入れ組織に対してである。現地での研修内容に沿った事前研修があまりなされていないと感じた。